2018年10月、パリサロンでワールドデビューを飾った新型BMW3シリーズ。日本発表はまだだが、世界が注目する新型はどう進化したのか、その真価を確認するため現地で取材した。(Motor Magazine 2019年2月号より)

330i Mスポーツと320dスポーツに試乗

試乗できたのは、ガソリンとディーゼルの4気筒エンジン搭載モデル。Mスポーツモデルの専用色に加えられた鮮烈なニューカラー“ポルティマンブルー”をまとっているのが330i Mスポーツ。そして“ミネラルホワイト”で力強くクリーンな印象を強調しているのが320dスポーツだ。

快晴に恵まれ、両車とも南ポルトガルの陽光にとてもよく映えている。従来型3シリーズセダンよりも、上級感を増した印象だ。大型化されたキドニーグリルは力強さ満点で、E46へのリスペクトを表現したというLEDヘッドライトのデザインと相まり、一見では5シリーズセダンかと思うほど。

資料には、新型のボディサイズは従来型3シリーズセダンより全長で+76 mm、全幅が+16mm、全高も+1mm大きくなっていると記されている。ホイールベースは41mm伸ばされ、トレッドもフロントが43mm、リアは21mm拡大しているようだ。

当然、重くなったのでは?という危惧が生まれる。しかし昨今、軽量化はもっとも重視されている項目で、もちろん新型3シリーズセダンでもそこに抜かりはない。ボディにおいて高張力鋼板の採用部位を大幅に拡大したことに加えて、ボンネットフードと左右フロントフェンダー、フロントサスペンションタワー、エンジンサブフレームなどはアルミニウム材を採用。さらに各部の軽量化により、ボディとしては従来型より55kgの軽量化が果たされたという。

330iは最高出力258ps、最大トルク400Nm仕様の2L直4ターボエンジンを搭載。320dには最高出力190ps、最大トルク400Nm仕様の2L直4ターボディーゼルエンジンが搭載される。従来型の330iは最高出力252ps、最大トルク350Nm仕様なので+3ps/+50Nmの強化、320dは最高出力、最大トルクとも値も発生回転数もまったく同じで何も変更されていないように思えたが、あとで実は大きな違いがあることを教えられた。

画像: 左が320dスポーツ、“ポルティマンブルー”をまとっているのが330i Mスポーツ。

左が320dスポーツ、“ポルティマンブルー”をまとっているのが330i Mスポーツ。

画像: 330i Mスポーツと320dスポーツに試乗
画像: 上が330i Mスポーツ、下が320dスポーツ。サイドビューの表情も変わった新型3シリーズ(G20)は従来型(F30)よりも重心の中心位置は10mm下げられたという。試乗車は、Mスポーツサスペンション装着で全高は10mm低い。

上が330i Mスポーツ、下が320dスポーツ。サイドビューの表情も変わった新型3シリーズ(G20)は従来型(F30)よりも重心の中心位置は10mm下げられたという。試乗車は、Mスポーツサスペンション装着で全高は10mm低い。

画像: 330i Mスポーツの試乗車は、オプションのMスポーツディファレンシャルも装着。コーナリング時のダイナミクスパフォーマンスをより高レベルなものにしている。今回試す機会はなかったが、照射距離530mを誇るレーザーライトを備えたアダプティブLEDヘッドライトもオプションとして装着されていた。

330i Mスポーツの試乗車は、オプションのMスポーツディファレンシャルも装着。コーナリング時のダイナミクスパフォーマンスをより高レベルなものにしている。今回試す機会はなかったが、照射距離530mを誇るレーザーライトを備えたアダプティブLEDヘッドライトもオプションとして装着されていた。

画像: 320dスポーツ。3種類の単眼カメラ(車両周辺監視/中距離検知/長距離検知)を用いて、より正確かつ安全な運転支援を実現するアシスタント機能も設定。先進の安全性を備えられる。

320dスポーツ。3種類の単眼カメラ(車両周辺監視/中距離検知/長距離検知)を用いて、より正確かつ安全な運転支援を実現するアシスタント機能も設定。先進の安全性を備えられる。

新型BMW3シリーズの快適な最新アシスタントと静粛性に驚かされる

まず最初は320dスポーツの助手席に乗り込んでみる。室内空間は広くて快適だ。

スタッフが、新型3シリーズから採用された“インテリジェントパーソナルアシスタント”の説明をしてくれる。そう、呼びかけると応えて操作をしてくれる「あれ」だ。呼びかけフレーズの初期設定は「ハーイ(ヘイ)、BMW」で、これを言うと、クルマが「何でしょうか?」と応えてくれて、希望することを依頼すると「わかりました、●○を▲△にします」と実行してくれるのだ。この“BMW”の部分を自分の好きな言葉に変更できるのも、嬉しいところだ。

ちょうど日射しが強かったので呼びかけて「ハーイBMW。暑いよ。温度下げて」とブツ切りの英語で話すと、きちんと伝わり設定温度を下げてくれた。試乗車は英語対応だったが、日本仕様ではもちろん日本語対応になるという。

乗り心地は、新開発されたハイドロリックリバウンドストップダンパーの効果か、直接的なショックが伝わってくるわけではないものの、相当にしっかりとしていて、ちょっと揺すられる感すらある。これは、最新ライバル勢の方向性とは明確に差別化されたものだ。

車内は静かで、ディーゼルエンジン車とはとても思えない。防音性に優れるアコースティックウインドウがフロント全車標準装着、そしてオプションで前席左右ウインドウに装着されていたことも、効果をあげているのだろう。

画像: 330i Mスポーツのインテリア。まったく新しいデザインとなった。大画面のカラーディスプレイはオプション。

330i Mスポーツのインテリア。まったく新しいデザインとなった。大画面のカラーディスプレイはオプション。

画像: 「BMWオペレーティングシステム7.0」と名付けられたシステムに含まれる多様なディスプレイを可能とするメーターパネル。新デザインで回転計は左回り。中央はナビを表示中。

「BMWオペレーティングシステム7.0」と名付けられたシステムに含まれる多様なディスプレイを可能とするメーターパネル。新デザインで回転計は左回り。中央はナビを表示中。

画像: ヘッドライトスイッチが従来のダイヤル式からボタン式に変更されたのも操作系でのトピック。中央上のシルバーのオートスイッチをオンにしておくのが基本。

ヘッドライトスイッチが従来のダイヤル式からボタン式に変更されたのも操作系でのトピック。中央上のシルバーのオートスイッチをオンにしておくのが基本。

ドライビングの楽しさを一歩進んだ爽快さで味わう

市街地を抜けて高速道路を走り、それなりの速度を体感する。合流時などの加速感も十分以上だ。自分でハンドルを握って走り出すと、さらに驚かされた。

まずハンドルを回す際の感触が、実に澄んでいる。余計なフリクションが感じられず、軽い力で回せるがフロントタイヤからの接地感はきちんと伝わってくる。

エンジンも低回転から実に滑らかで、しっかりとトルクを発生してくれる。シフトアップしていく8速ATの感触も、変速していく感じはきちんと伝わってくるが、いわゆるシフトショックといった類の衝動は受けず心地よい。制御がより洗練されているのだ。

わかりやすい音声案内とポイント表示を行ってくれるナビゲーションシステムに導かれて走る内に、山間の区間に入っていた。ちょうど地元車と思しき先行車が元気良く走っているので、車間距離を取りながらガイド役に任ずる。

道幅は片側一車線でさほど広くはないが新型3シリーズのボディサイズはとくに気にならない。ボディの見切りが良いことが役に立っているのだろう。アップダウンと大小のコーナーが連続するワインディングロードを走るのが、何とも楽しく快適、かつ痛快だ。強靱なボディがサスペンションをきちんと動かしてくれ、タイヤはしっかりと路面をとらえている。

すっかり320dスポーツの走り味に魅了されてしまった後に、今度はガソリンエンジンの330i Mスポーツへと乗り換える。

ディーゼルエンジンならではの力強さには敵わないだろう、という先入観があったものの、高出力仕様の330iということもあってか、こちらもまた低回転からスムーズでトルクフル。さらに、高回転まで心地よく吹け上がる。

ハンドリングと乗り心地は、320dスポーツよりもう少しダンピングが強くなっているようでスポーティ感がさらに強い。

しかし言ってみればそれは“BMWらしい”“いかにもスポーツセダンらしい”“3シリーズのイメージらしい”とも考えられる。4気筒ターボエンジンのサウンドも良い感じで響いてきて、スポーツ心をくすぐってくれる。

画像: Mスポーツモデルのフロントスポーツシート。従来型よりショルダー(肩)まわり、ヒジまわり、足下といった空間の余裕が増加。

Mスポーツモデルのフロントスポーツシート。従来型よりショルダー(肩)まわり、ヒジまわり、足下といった空間の余裕が増加。

画像: リアシートも快適性が向上。乗降時の支障とならないよう、従来はリアドア後端にあったホフマイスターキンク部はボディに移った。

リアシートも快適性が向上。乗降時の支障とならないよう、従来はリアドア後端にあったホフマイスターキンク部はボディに移った。

画像: トランク容量は480L。リアシートバックは40:20:40の分割可倒式で全車標準装備となった。オートマチックトランクリッドも設定。

トランク容量は480L。リアシートバックは40:20:40の分割可倒式で全車標準装備となった。オートマチックトランクリッドも設定。

3シリーズ本来の方向性そのアピールを改めて実感

試乗後にわかったのだが、2台ともMスポーツサスペンションが装備されていて乗り味の違いはタイヤだけによるということだった。ともにオプション装備で330iが19インチ仕様(前225/40R19、後255/35R19 ミシュランパイロットスポーツ4 S)、320dは18インチ仕様(225/45R18 ミシュランパイロットスポーツ4)。こうなると標準仕様のサスペンションとタイヤの組み合わせで乗ってみたい気持ちも強まる。

4気筒ディーゼルエンジンは大幅に手が加えられており、中でも大小ふたつのターボチャージャーを備えたシーケンシャルツインターボに変更されていることには驚かされた。4気筒ガソリンエンジンもターボ改良なども含めた熟成が進んでいる。

充実した運転支援機能や安全装備に加えて、狭い場所でフロントから駐車したような際に便利な、オプション機能のリバーシングアシスタントにも感動した。これは停止前までの36km/h以下でのハンドル操作を50m前まで記憶していて、スイッチを操作すれば自動操舵で戻ってくれ、ブレーキ操作の速度調整だけでいいのだ。

日本導入は2019年の早めの時期だという。最初は330iと320iという仕様違いの2L直4ターボエンジン搭載モデルでデビュー、遅れて2L直4ディーゼルターボエンジン搭載の320dが投入される見込みだ。3L直6ターボエンジン搭載のM340i xDriveは、もう少し後の登場となるだろう。“これがスポーツセダンだ!”という、BMWがアピールしたい新型3シリーズの矜持をハッキリと実感することができた。(文:香高和仁)

画像: 330iの2L直4ターボエンジン。日本での主力モデルとなる320iのエンジンは専用に開発されるがその基本メカニズムは330i用と同一。

330iの2L直4ターボエンジン。日本での主力モデルとなる320iのエンジンは専用に開発されるがその基本メカニズムは330i用と同一。

画像: 2L直4ディーゼルターボエンジンには新たにシーケンシャルツインターボ機構を装備。上に高圧用小径ターボ、下が低圧用大径ターボで可変タービンジオメトリー機構を備えている。ユニットは上下一体型でボルグワーナー製。

2L直4ディーゼルターボエンジンには新たにシーケンシャルツインターボ機構を装備。上に高圧用小径ターボ、下が低圧用大径ターボで可変タービンジオメトリー機構を備えている。ユニットは上下一体型でボルグワーナー製。

新型BMW 330i 主要諸元(ドイツ仕様)

●全長×全幅×全高=4709×1827×1442mm
●ホイールベース=2851mm
●車両重量=1545kg
●エンジン=直4DOHCターボ
●排気量=1998cc
●最高出力=258ps/5000-6500rpm
●最大トルク=400Nm/1500-4400rpm
●トランスミッション=8速AT
●駆動方式=FR
●0→100km/h加速=5.8秒

新型BMW 320d 主要諸元(ドイツ仕様)

●全長×全幅×全高=4709×1827×1442mm
●ホイールベース=2851mm
●車両重量=1530kg
●エンジン=直4DOHCディーゼルターボ
●排気量=1955cc
●最高出力=190ps/4000rpm
●最大トルク=400Nm/1750-2500rpm
●トランスミッション=8速AT
●駆動方式=FR
●0→100km/h加速=6.8秒

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