年間100本以上の映画を鑑賞する筆者が独自視点で今からでも・今だからこそ見るべき映画を紹介。
今回は、アガサ・クリスティが生み出した世界最高の探偵が活躍『オリエント急行殺人事件』

エルキュール・ポアロ(Hercule Poirot, ポワロとも日本語表記)は、アガサ・クリスティ作の推理小説に登場する架空の名探偵。ベルギー人。シャーロック・ホームズなどと同様、時代を越え現在にまで至る支持を得た名探偵の一人。ホームズ以来のそれまでの推理小説の主人公から一線を画した探偵であり、滑稽ともいえるほどの独特の魅力で高い人気を誇る。クリスティが生み出した代表的な探偵と同時に、一般的にも著名な名探偵の一人である。

乗客全員が容疑者。運行中の豪華列車内で起きた不可解な殺人事件の真相を追う名探偵ポワロ

自他共に認める世界最高の探偵エルキュール・ポアロ(ケネス・ブラナー)は、中東での事件を解決後、イスタンブール発カレー行きのオリエント急行に乗りロンドンへの帰路に就いていた。
季節は冬であり、通常ならば乗客はまばらなはずだったが、一等車両も二等車両も満席。ポワロは乗客の一人、米国人の美術商のラチェット(ジョニー・デップ)から、身辺警護の依頼をされるがこれを断る。ラチェットはあくどい商売から敵が多く、いくつかの脅迫状を受け取っていたことからポワロに接近したのだが、ポワロはラチェットが悪人であると断じて依頼を受けることを拒否したのだった。

しかし、翌日ラチェットは死体となって発見される。オリエント急行側からの依頼で捜査に乗り出したポワロだったが、乗客全員にアリバイがあり、真相を暴くことはそう簡単ではなかった・・・。

世界的に有名な女流推理小説作家アガサ・クリスティ原作の同名小説の映画化。主演のケネス・プラナー、殺人の被害者となるラチェット役にジョニー・デップ、その他ダニエル・クレイグ版007シリーズでMを務めた大女優ジュディ・リンチ、スター・ウォーズ新シリーズでヒロインのレイを演じるデイジー・リドリーなど、豪華配役でも話題になった作品。

”真実か正義か”究極の選択に悩む探偵。
”ストーリーか構成か”究極の贅沢に悩む観客。

水谷豊演じる杉下右京(テレビ朝日系でシリーズ化されている刑事ドラマ『相棒』の主人公の敏腕警部)は、常に法の上の正義を尊び、空気を読まずに法を犯した者を捕らえてしまうことで有名。
しかし、本作における名探偵ポワロは、事件の真相を掴みながらそれを公にすることが本当にいいことなのかどうかを迷い、悩む。

本作は1934年に作られた小説を原作にしており、さらに言えば原作にかなり忠実な作りをしている。ということは、少なくとも推理小説やアガサファンであれば、結末を知る者は多い、ということになる。推理小説において犯人を知っている、もしくはトリックを知っている、ということは、それを読み下す楽しみのほとんどを放棄することになるかと思うのだが、本作はその豪華なキャスト陣と、実にリュクスで上質なセットの美しさ、そして見事に再現されたポワロの魅力が相まって、ストーリーやプロットとは関係なく、映画そのものを楽しめる見事な作りになっている。

僕は、映画という芸術、もしくは娯楽は、ストーリーよりはシーン一つ一つの美しさや、緻密に織り上げられた構成のあり方によると常々から思っている。それはちょうど、良い音楽(クラシックでもなんでも)は何回聴いても良いものは良いのと同じだと考えている。
本作はその僕の持論を裏付けるものだ。ストーリーもプロットもほぼ周知のものだが、演者や脚本、演出の見事さが、それを忘れさせ、上等なエンターテインメントとして成立させているのである。

画像: 『オリエント急行殺人事件』4.4先行デジタル配信/5.2ブルーレイ&DVDリリース youtu.be

『オリエント急行殺人事件』4.4先行デジタル配信/5.2ブルーレイ&DVDリリース

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