発売されると同時に各方面に衝撃を与えているお騒がせシグマの10倍ズーム60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM、キヤノン用に遅ればせながらニコンマウントも発売となった。これってモータースポーツでどうなの? ということで、ニコンD5と共にサーキットイベントで使用してみた。
PHOTO & REPORT 井上雅行 from JRPA (Japan Racing Photographers Association)

変貌するプロポーション

画像: 60mmでの状態はこの通り、三脚座が全体の重心の位置にある。

60mmでの状態はこの通り、三脚座が全体の重心の位置にある。

画像: 600mmに伸ばすと重心は前方に移動、手持ちの場合はフード部を持った方がバランスがよい。

600mmに伸ばすと重心は前方に移動、手持ちの場合はフード部を持った方がバランスがよい。

マグネシウムやカーボン素材を適所に使用したマルチマテリアル構造ということで軽量化は図られているが、その重量は2700gということで持った感じはズッシリと重みを感じる。しかしながら600mmに伸ばした状態でも鏡筒のガタツキは一切感じられず、比較的コンパクトながら画質を優先した設計なのがうかがえる。一脚を用いた方がフレーミング等は安定するが、機動性を重視するのであれば手持ちもアリだ。でも今回みたいな丸1日はキツイかな?

一度使えば止められない?

画像: オープニングセレモニーはホンダの八郷社長をセンターに、さらに観客を入れて臨場感をだしてみた。 ■絞りF9 1/500秒 ISO200 60mm域

オープニングセレモニーはホンダの八郷社長をセンターに、さらに観客を入れて臨場感をだしてみた。
■絞りF9 1/500秒 ISO200 60mm域

画像: 同じ場所からダニ・ペドロサ選手とピエール・ガスリー選手をいれてクローズアップ。 ■絞りF9 1/500秒 ISO200 450mm域

同じ場所からダニ・ペドロサ選手とピエール・ガスリー選手をいれてクローズアップ。
■絞りF9 1/500秒 ISO200 450mm域

画像: ヘルメットにピントを合わせるのが難しい現代F1マシンの構造だが、狙った中央1点のフォーカスポイントをしっかりフォローしてくれた。 ■絞りF7.1 1/640秒 ISO800 600mm域

ヘルメットにピントを合わせるのが難しい現代F1マシンの構造だが、狙った中央1点のフォーカスポイントをしっかりフォローしてくれた。
■絞りF7.1 1/640秒 ISO800 600mm域

画像: レギュレーションの変更により来年からSGTのピット作業はサインガードからの撮影となるので、遠方のピットも撮影できるこのレンズは決勝レースで重宝しそうだ。 ■絞りF9 1/400秒 ISO200 500mm域

レギュレーションの変更により来年からSGTのピット作業はサインガードからの撮影となるので、遠方のピットも撮影できるこのレンズは決勝レースで重宝しそうだ。
■絞りF9 1/400秒 ISO200 500mm域

撮影したのはツインリンクもてぎで開催された「ホンダレーシング サンクスデー」。ファン感謝イベントということで、様々なマシンが走行するモータースポーツファンにはたまらない1日だ。メインで使うD5にこのレンズ(60-600mm)、サブにはD500+18-200mmと、2台のカメラにそれぞれレンズを付けっぱなしにして取材に臨んだ。このイベント、スケジュールがびっしりで少しでも移動のロスを減らしたい。でもこれで朝プレスルームを出たら夕方まで戻らないでも大丈夫というわけだ。

結構ピント追うじゃない!

画像1: 結構ピント追うじゃない!
画像2: 結構ピント追うじゃない!
画像3: 結構ピント追うじゃない!
画像: ジェンソン・バトンが駆る2018年チャンピオンマシンの凱旋ラン、15コマ連写した中から5カットを抜粋。 ■絞りF8 1/800秒 ISO400 AF-C 600mm域 1.5Xクロップ900mm相当(5カット共通)

ジェンソン・バトンが駆る2018年チャンピオンマシンの凱旋ラン、15コマ連写した中から5カットを抜粋。
■絞りF8 1/800秒 ISO400 AF-C 600mm域 1.5Xクロップ900mm相当(5カット共通) 

画像4: 結構ピント追うじゃない!

実は以前テストしたシグマのレンズ、解像感は高いのだがニコンのAF-Cとの相性が今ひとつか?(その後ファームアップで対策されたらしい)という印象だった。ところがこの60-600mmはそういったことが一切なく、常用しているニコンの200-500mmと同等のAF追従性(歩合で7-8割)をみせている。おそらくリバースエンジニアリングによるAF制御の解析がさらに進んだのだろう。さらに驚くべきはその画質で、10倍ズームなのに純正2.5倍ズームに匹敵する解像感。クロップ耐性も高いので撮影距離が長くなるアマチュアカメラマンには強力な武器になるハズ。シグマには150-600mmというラインアップもあるが、望遠側でクイックなズームができる60-600mmの方が使い勝手もよいのでは。

気になる点も言っちゃうよ

画像: スーパーフォーミュラのデモレース、開放でもピントはしっかりしている。 ■絞りF6.3 1/640秒 ISO250 600mm域

スーパーフォーミュラのデモレース、開放でもピントはしっかりしている。
■絞りF6.3 1/640秒 ISO250 600mm域

画像: 1段絞って周辺光量落ちはほぼ解消。 ■絞りF9 1/640秒 ISO400 600mm域

1段絞って周辺光量落ちはほぼ解消。
■絞りF9 1/640秒 ISO400 600mm域

画像: ダニ・ペドロサのホンダでのラストラン、手持ちで流すのが二輪スタイル ■絞りF16 1/250秒 ISO200 500mm域 OSモード2

ダニ・ペドロサのホンダでのラストラン、手持ちで流すのが二輪スタイル
■絞りF16 1/250秒 ISO200 500mm域 OSモード2

ピント・解像感ともに申し分ない、とくれば次に気になるのは周辺光量の低下だろう。正直に言えば開放である程度はある。が、モータースポーツ撮影では気にする必要は無い。実際には絞って撮影することがほとんどなのと、周辺が落ち込むことで効果的な演出となる場面も多いからだ。若干気になったのは、時折発生する600mm端でのAFの挙動。最初にピントを掴みにいく時、外す方向に動いたり迷うことがあった。そんな場合、少しズームを戻して500mm位にすればピタッとAFが決まるので、これは有効口径とAFエリアの微妙な変化によるものだろう。

また流し撮りなど手持ちで撮影する場合は先端のフードを持つことになるのだが、レンズを振ってる最中に焦点距離が変化してしまう場合がある。それを防ぐために焦点距離目盛ごとに軽めのロックをかける機構があるのだが、ズームリングの重さを調節する機能の方が実用性は高いと思えた。

撮影をサポートする機能

画像: 吸い付くように止まる手振れ補正OS(Optical Stabilizer)、流し撮りにはモード2

吸い付くように止まる手振れ補正OS(Optical Stabilizer)、流し撮りにはモード2

画像: 一脚をマサカリのように担ぐプロに嬉しい安心の3/8インチネジ穴

一脚をマサカリのように担ぐプロに嬉しい安心の3/8インチネジ穴

手持ち撮影で必須となるのが手ブレ補正機能。シグマではOS(Optical Stabilizer)と呼んでいる。これの効果はファインダーを覗いただけで分かるほど強力なもの。通常のモード1と動体向けのモード2があり、サーキットでは迷うことなくモード2。またカメラのマウント部への負担を減らすために三脚座リングにストラップが取り付けられるのだが、これは取り付け部でストラップが捻れてしまうのが惜しい。プロユースを意識した機能としては三脚座がアルカスイス互換なのと、ネジ穴に3/8インチが併設されている。一脚を掴んで移動することも多い現場では、安心感のある太ネジを使用できるのは嬉しい。

猛威を振るう予感しかしない!

画像: 夕闇迫るパレードラン、イベントを締めくくる感動的なシーン ■絞りF6.3 1/320秒 ISO1600 280mm域

夕闇迫るパレードラン、イベントを締めくくる感動的なシーン
■絞りF6.3 1/320秒 ISO1600 280mm域

イベント開始から終了まで約10時間、丸1日使用して感じたのは「これ欲しい!」という素直な気持ち。気が付いたらほとんどのカットをこのレンズで撮影していた。そして終わってから驚いたのは消費電力の少なさ。約1500カット撮影してD5のバッテリーはまだ80パーセント残っている。

長丁場なので今回は一脚を併用したが、身体の大きな海外フォトグラファーは軽々と手持ちで撮影できるだろう。残念なのはズームの回転方向がニコンとは逆方向で、これは1日使っても慣れなかった。キヤノンユーザーなら抵抗無く使用できるだろうし、実際私の周囲のキヤノンユーザーが購入したという話を数件耳にしている。来年の国内外サーキットでこのレンズが大活躍することは間違いない、と思えるほどメリットがデメリットをはるかに上回っている。何てレンズを作ったんだ、シグマさん!

シグマ 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSMの詳細はこちらへ

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