年間100本以上の映画を鑑賞する筆者が独自視点で今からでも・今だからこそ見るべき映画を紹介。
今回は、第二次世界大戦下の英国で国威高揚のため、最高の映画を作り上げようと奮闘した映画人たちの姿を描いた『人生はシネマティック!』。

ダンケルクを題材としたプロパガンダ映画の制作チームに加わった一人の女性と、彼女を支えて映画を作り上げていった人々の情熱を描いた良作

舞台はナチス・ドイツの(戦車や航空機を駆使した)電撃戦の前に劣勢を強いられていたイギリス。
ウェールズで秘書をしていたヒロインのカトリンは、画家の夫と共にロンドンにやってきたが、情報省の映画局で脚本チームの一員として働き始めることになる。

英国政府は、ナチス・ドイツの侵攻を食い止め、反撃に転じるために国威高揚を必要としており、国民の愛国心に訴えられるような”楽観性”と”信憑性”を持つストーリーの映画化を強く望んでいたのだ。

ドーバー海峡に面する街 ダンケルクまで追い詰められた英仏連合軍40万の兵士たちを見事に撤退させた「ダイナモ作戦」では、多くの民間人が参加し活躍したのだが、その民間人の中に、負傷した将校を救い出した双子の姉妹の存在があることを知ったカトリンは、脚本チームのリーダー バックリーのバックアップの下、双子の姉妹を主人公としたストーリーの映画化の許可を勝ち取る。

空爆が続くロンドンの中で、多くの紆余曲折がありながら、カトリンたちは単なるプロパガンダを超える、真に人々を感動させる力を持った映画の制作を目指して力を尽くしていくが・・・

主演はジェマ・アータートン(カトリン役)とサム・クラフリン(バックリー役)。シリアスな環境の中で良い作品を作り上げようと情熱を燃やす映画人たちの姿を、楽観的な演出で描いた良作。

『ライフ・イズ・ビューティフル』にも通じる人生礼賛映画

本作の時代背景は激しさを増す第二次世界大戦のさなかであり、理不尽かつ唐突な事態(空爆)によって多くの人が命を落としていく。
そんな中で映画作りに励む人々の姿を、本作はややコミカルに、というか、明るく楽しげに描くいている。ヒロインのカトリンを支える若き脚本家バックリーは「人生は理不尽で無意味だ」という。「なぜ人々は映画を見るのか。それは構成があるからだ」と。映画の中にあっては、どんな悲惨な事件も、明るい結末も、それは脚本があって、一つ一つに意味がある。だから映画は素晴らしい、とバックリーは言うのだ。

彼らは英国政府からの、あくまで政治的なプロパガンダ映画を作らせたいという圧力を巧みにかわしつつ(映画製作を続行するために、それらを受け入れながらも本質は変えずに)自分たちが目指す映画の製作に勤しむ。

戦争という愚劣で忌まわしい過度な暴力に晒されながらも、望みを捨てず、夢に向かって努力をやめないのである。

本作は悲惨な境遇にあって息子のために道化を演じきった哀しくも暖かい父親を描いた傑作『ライフ・イズ・ビューティフル』にも通じる、力強い人生礼賛映画だ。どんなことがあっても、前向きに生きていこう、そんな勇気と元気を与えてくれる一作である。

画像: 映画『人生はシネマティック!』11.11(土)公開 youtu.be

映画『人生はシネマティック!』11.11(土)公開

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