イギリスを代表するスポーツカーと言えば、アストンマーティンだろう。その圧倒的な官能性能は意外や扱いやすいものダフが、それを乗りこなすにはそれなりの覚悟がいりそうだ。真に生粋のグランドツーリスモとは、時にわがままな代物なのかもしれない。(Motor Magazine 2018年8月号より)

壮大なセカンド センチュリー プランにとって重要な1台

創立100周年という歴史的な節目を、2013年に迎えたアストンマーティンは現在、それに続く100年、すなわち第2世紀にさらなる成長を遂げるための中長期計画「セカンド センチュリー プラン」を進行中だ。

DBという伝統の称号を掲げたGT=グランドツーリングの最新作たるDB11は、このプランによって誕生した最初のモデル。それはまさに、アストンマーティンに新時代が到来したことを広く知らしめるモデルでもあった。

今年のジュネーブモーターショーで、このセカンド センチュリー プランを策定したアストンマーティンの会長兼CEO、アンディ・パーマー氏にインタビューすることができた。パーマー氏によれば、現在進行中のセカンド センチュリー プランは2023年まで、すなわちアストンマーティンの第2世紀が始まった2013年を起点とした、最初の10年間を想定したもの。

それはより魅力的なニューモデルを生み出すための準備期間たる1stフェイズを経て、現在はそれらが実際に市場へと投じられている2ndフェイズに至っているという。GTのDB11、スポーツカーのヴァンテージ、そしてスーパーGTとカテゴライズされるDBSスーパーレッジェーラ。これらはいずれもセカンド センチュリー プランから誕生した新型車だ。

このインタビューの中でさらに興味深かったのは、パーマー氏が「アストンマーティンというブランドには7タイプのカスタマーが存在する」と語ったことだ。それはすなわちアストンマーティンには、7タイプの異なるモデルが必要となることを意味している。

オンロードF1マシンともいうべき怪物、ヴァルキリー、SUVのDBX、ラピードSの後継となる4ドアモデル、そしてこちらも開発プロジェクトの存在が噂されているミッドシップのスーパースポーツ。これらが出揃うことでアストンマーティンのラインナップは完成する、と想像するのは、いささか安易だろうか。

重要なのは、このプランによって、アストンマーティンがブランドとして、壮大な夢と期待感を抱くことが可能になったということなのだ。第1世紀の中で受け継がれてきた確かな伝統と、第2世紀を担うためのさまざまな革新。いずれもが魅力的であり大きな相乗効果を生み出していくことが、アストンマーティンの成長の勢いに拍車をかける大きな力となる。

画像: DB11では、オープンモデルのヴォランテはV8モデルのみの設定となる。

DB11では、オープンモデルのヴォランテはV8モデルのみの設定となる。

画像: オープンボディにも関わらず、さまざまな強化策によって22000Nm/degという高い捻じり剛性を得ている。

オープンボディにも関わらず、さまざまな強化策によって22000Nm/degという高い捻じり剛性を得ている。

画像: AMGから供給されるV8のヘッドカバーには、品質管理担当者の銘入りプレートが付く。ロールバーも凄い迫力。

AMGから供給されるV8のヘッドカバーには、品質管理担当者の銘入りプレートが付く。ロールバーも凄い迫力。

新たな100年紀を迎えてアストンマーティンは完成する

前置きがやや長くなってしまったが、さっそくここでの主題であるアストンマーティンの最新作へと話を進めよう。

今回試乗したのは、DB11のラインナップにおいても、とりわけエレガントな雰囲気を醸し出す、オープンモデルのヴォランテ。現在DB11には、クーペではV12のAMRと、V8の両モデルが用意されているが、ヴォランテはV8モデルのみの設定。とはいえフロントに搭載される、メルセデスAMGのそれをベースに、アストンマーティンが独自のチューニングを施した4LのV型8気筒ツインターボエンジンは、最高出力&最大トルクで510ps&675Nmという魅力的なスペックを誇る。オープンボディのグランドツアラーとはいえ、それに秘められる運動性能は大いに期待できる。

エクステリアデザインは実に流麗だ。遮音性などを考慮して、一部のパートに8層構造を採用したソフトトップ、そしてウエストラインによって描かれる、コンパクトなキャビンのデザインからは、クーペよりもさらに軽快な印象を抱くことができる。トップのオープン&クローズはもちろんフルオートマチックで、オープンには14秒、クローズには16秒を必要とするのみ。4枚のサイドウインドウの開閉も同じスイッチで行える、使い勝手の良さも見逃せない。

ハンドル部のスイッチで、パワートレーンとシャシの各々を「GT」、「スポーツ」、「スポーツプラス」の各モードが自在に選択できるのは、DB11の全モデルに共通のメカニズム。まずはもっともラグジュアリーなドライブが楽しめるGTモードで、DB11ヴォランテのドライブを始めた。

市街地レベルの速度域では、乗り心地に若干の硬さを感じさせるサスペンションだが、車速が高まるにつれて、その印象はよりしなやかさを感じるものへと変化していく。とりわけ魅力的なのはコーナリング時の動きで、常に正確に反応するハンドルと、コンパクトなV8エンジンを低く、そしてフロントミッドシップ、さらに前後重量配分を最適化するために、8速ATをリアに搭載した効果が、そのナチュラルなハンドリングを生み出している。

ツインターボエンジンのレスポンスも素晴らしい。高回転域ではもちろんフィーリングに鋭さが増し、ピュアなスーパースポーツにも似た、刺激的な走りを楽しむこともできる。ヴォランテは、DB11シリーズの中でもベストバイなのではないか。さまざまなシーンでドライブするうちに、それは予感から確信へと変わっていた。(文:山崎元裕)

画像: 標準仕様のインテリアは、フルグレインレザーでコーディネイト。センター部のディスプレイは8インチと昨今のトレンド的には控えめだ。iPod、iPhoneのほか、Bluetoothオーディオのストリーミングが可能。

標準仕様のインテリアは、フルグレインレザーでコーディネイト。センター部のディスプレイは8インチと昨今のトレンド的には控えめだ。iPod、iPhoneのほか、Bluetoothオーディオのストリーミングが可能。

画像: DB9に対して後席の居住性が向上。幼児用のISO-FIXアンカーを装備する。

DB9に対して後席の居住性が向上。幼児用のISO-FIXアンカーを装備する。

画像: ドライブモードを変更すると、メーターのアピアランスもそれに合わせて変化。AMGから供給されるV8のヘッドカバーには、品質管理担当者の銘入りプレートが付く。ロールバーも凄い迫力。

ドライブモードを変更すると、メーターのアピアランスもそれに合わせて変化。AMGから供給されるV8のヘッドカバーには、品質管理担当者の銘入りプレートが付く。ロールバーも凄い迫力。

画像: フロント9J、リア11Jの10スポークアロイホイールを装備。タイヤはブリヂストンの新作ポテンザS007だった。

フロント9J、リア11Jの10スポークアロイホイールを装備。タイヤはブリヂストンの新作ポテンザS007だった。

画像: トップ開閉に要する時間は、開ける時が14秒、閉める時が16秒でそれぞれ完成。スイッチひとつで操作できる。

トップ開閉に要する時間は、開ける時が14秒、閉める時が16秒でそれぞれ完成。スイッチひとつで操作できる。

アストンマーティン DB11 ヴォランテ 主要諸元

●全長×全幅×全高=4750×1950×1300mm
●ホイールベース=2805mm
●車両重量=1870kg
●エンジン=V8DOHCツインターボ
●排気量=3982cc
●最高出力=510ps/6000rpm
●最大トルク=675Nm/2000-5000rpm
●トランスミッション=8速AT
●駆動方式=FR
●0→100km/h加速=4.1秒
●車両価格=2423万2276円

コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.