写真の新たな媒体、SNS(ソーシャルネットワークサービス)。この新連載では写真家・中野幸英さんが、SNS から生まれた新たな文法 = リテラシーを実際に投稿者と会って検証・共有していきます。
今回は風花さん(24歳・モデル)をご紹介します。
この記事は月刊カメラマン誌2018年2月号に掲載されたものです。
画像: SNS Literacy「ソーシャルネットワーク・ネイティブ 」、風花さん

撮る / 撮られる

東京・阿佐ヶ谷のカフェで写真展示があるというので、駆けつけて彼女に話を伺った。モデルである「anemone_hi_lite」さんこと風花さんは仙台に生まれ、幼くしてドイツに移住。小3 で日本に戻るも、小6 でアメリカ・バークレーに再び移住。日本に戻り美大で写真を主に学びつつ映画出演やモデルをして今に至る、という変化に富んだ経歴を持つ。

SNS についての連載第一弾としてはいわゆる「インスタグラマー」ではなく、フォロアー数もダントツに多いわけではない、彼女を取り上げたいのには理由がある。Facebook もInstagram なども使うが、彼女が写真を展示したのはカフェの店内だった。

23 歳の女性がネットではなく展示にこだわる理由や、SNS との使い分けをどうしているのか。撮る方も撮られる方も行き来する彼女に、SNS の捉え方を聴いてみたかった。

写真の作り手として

風花さんは高校3 年の時に友人を撮って22 枚のタロットカードを制作した。思い出づくりとして、話したかった友人達に声をかけ、自ら卒業展として教室に貼り出した。
大学ではソニーα7を買い、さらに本格的なタロットカードの実写版を制作した。友人をコスプレさせて、馬や本物のロケーションにこだわったそうだ。
最近は弟が作ったというキットカメラとロモ・ベルエアーやホルガを使用。フィルムカメラやトイカメラを、デジタルよりも後に経験していることに不思議を感じる。

今回の展示はその35mm 版とブローニーで撮影されていて、多重露光されたものが多い。写っているのはすべて友人だという。壁にならんだパネルには年齢も撮影場所もバラバラの友人達がモデルのように無表情、だけどとても自然に背景へ溶け込んでいる。記念写真やファッションとも違う、映画のワンシーンのような写真だ。

重なる風景の中で写っている彼らは、シリアスにも自由にも見える。タロットカードの現実世界版のようにも見えなくはなかった。「自分が撮られた経験をいかして友達を撮ってみたかった」と、展示の向かい側の席に座って風花さんは楽しそうに話してくれた。

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