2017年12月6日から予約注文が開始されていた911レンジの軽量モデル、「ポルシェ911カレラT」がいよいよ日本上陸を果たした。車名にある「T」はツーリングを表すと言われる軽量化モデルはどんなクルマに仕上がっているのか。(Motor Magazine 2018年12月号より)

憧れの911の中でも特別な「T」とはどういうクルマか

クルマ好き、とくに運転好きにとってポルシェ 911は特別な存在だ。このクルマを自分のものにして、手足のごとく操れるようになりたいと願っている人は少なくないだろう。

ただし、リアオーバーハングにエンジンを搭載し後輪を駆動するレイアウトは、ドライビングが難しいと言われたのは遠い昔の話。今や、PSMやABSなどの先進支援技術によって助けられているだけでなく、基本的に非常に高い安定性とドライバーの指示に忠実なハンドリングを持っている。つまり、並みの走りでは限界を見ることはできない。速度など、明確に制約を受ける一般道ではなおさらだ。

そんな911の中にあって、カレラTとは一体どんなクルマなのか。ひと言でいえば、911版ライトウエイトスポーツという位置づけである。

911 カレラは水平対向6気筒3Lエンジンを搭載。370ps/6500rpm、450Nm/1700-5000rpmを発揮する。価格は1244万円からだ。この上にカレラSがあり、420psとパワーアップするかわりに1519万円からと価格も上がる。カレラGTSは450psになり1788万円から。4LエンジンになったGT3は500psになり2115万円から。

さらにパワーがあるのは911ターボで3.8Lから540psを発揮して2267万円。911ターボSは580psで2630万円。頂点となるのはGT2 RSでなんと700ps、価格も3656万円と跳ね上がる。

ため息が出そうなプライスリストだが、パワーと価格がリンクしていて、ある意味わかりやすい。

画像: カレラ比で約20kgの軽量化は、ドライビングの楽しさをよりピュアに研ぎ澄まし、操ることを極めたくなる。リアスポイラーは通常はボディと一体化されているので見た目スッキリ。高速走行時はリフトアップして最適な空力性能を発揮する。

カレラ比で約20kgの軽量化は、ドライビングの楽しさをよりピュアに研ぎ澄まし、操ることを極めたくなる。リアスポイラーは通常はボディと一体化されているので見た目スッキリ。高速走行時はリフトアップして最適な空力性能を発揮する。

画像: イエローのアクセントが目を惹くインテリア。アルカンターラGTスポーツステアリングホイールがスパルタンな印象を作り出している。

イエローのアクセントが目を惹くインテリア。アルカンターラGTスポーツステアリングホイールがスパルタンな印象を作り出している。

画像: 室内側ドアには開けるためのノブがなく、代わりにナイロン製ベルトを装備する。

室内側ドアには開けるためのノブがなく、代わりにナイロン製ベルトを装備する。

画像: 軽量化モデルであるが試乗車は電動4ウェイシートを装備。ヘッドレスト部の「911」のエンボスは専用アレンジ。

軽量化モデルであるが試乗車は電動4ウェイシートを装備。ヘッドレスト部の「911」のエンボスは専用アレンジ。

パワーを追求するのではなく、パワーを活かすための進化

しかし、こうしたポルシェ911の流れにあって、カレラTはちょっと違う。カレラTのエンジンはカレラと同じ370psで、その特徴は軽いボディにある。パワーアップによる絶対スピードではなく、軽量化によるフットワークの向上にコストをかけているのだ。車重は1445kgでカレラの1590kgより大人2人分も軽い。これは大きな差だ。

タイヤサイズはGT3と同じ前輪245/35ZR20(91Y)XL、後輪305/30ZR20(108Y)XLで、試乗車はピレリPゼロを履いていた。

後席のシートは設定されていない。インナードアハンドルはシートベルトと同じく黄色いベルトが採用されている。これも軽量化のためなのだろう。完全なバケットシートではなく、パワーウインドウやパワーシートも装備されているから、日常使いで不便を感じることはない。

同時にサスペンションにも手が入れられ、カレラの1294mmから1285mmへと車高が下げられている。

ここまで解説すると、カレラTが欲しくなる人がきっといるはずだ。それは絶対的な加速力や最高速を誇り、サーキットでベストラップタイムを刻むことを好む人とはまた違ったタイプの運転好き。そこそこの速さがあり(といっても十分に速いが)、純粋にハンドリングを楽しめるクルマが欲しいなら、カレラTはひとつの理想像になる。

ここまで突き詰めたモデルとなると、PDKではなくMTが欲しくなるのはない物ねだりだろうか。確かに0→100km/h加速を計測すれば、誰が運転してもMTよりPDKのほうが速いのは今や明白なのだが……。

それでも絶対的な速さではなくあくまで操る悦びのために選ぶのだから、日本仕様でもマニュアルトランスミッションをチョイスできる機会が欲しいところだ。

車高が下げられ固められた脚なのだが、乗り心地は悪くない。意外かもしれないが、これはサスペンションのバネ、ダンパーの硬さではなく、ボディ剛性の高さから生まれたメリットだと思う。

フラットでスムーズな路面では見事にフラットに走れ、路面の不整があった場合には乗り越えるときに硬さが伝わりながらも、巧みに揺れが収束されるので不快感はない。ホイールベースが短く、ボディ剛性も高いので、ビビリや振動が残らないからだ。

エンジンはすこぶる官能的だ。レッドゾーンは7400rpmからだが、ターボエンジンだからそこまで回してもあまり意味がない。6000rpmくらいでどんどんシフトアップしていっても、トルクがあるからどんどん加速して気持ちがいい。

回転が上がるにしたがってパワー感も明確にアップしていくが、それよりエンジン音、排気音の高まりがドライバーの高揚感に直結してくる。

ターボエンジンなのだが、ターボラグは感じない。NA感覚でドライブできるのも、このカレラTの大きなメリットだ。ここでも、ボディが軽いことが生きている。

雨の中でも試乗したが、ハンドル操舵は軽めでも感触はわかりやすかった。路面のグリップ感と密に相談しながら走れるのは、スポーツカーとして合格だ。(文:こもだきよし)

画像: バイキセノンライトを採用したヘッドランプは、LEDデイタイムランニングライトを装備。

バイキセノンライトを採用したヘッドランプは、LEDデイタイムランニングライトを装備。

画像: チタングレー塗装が施された20インチホイールが、足下の印象を引き締める。車高は911カレラより約10mm低い。

チタングレー塗装が施された20インチホイールが、足下の印象を引き締める。車高は911カレラより約10mm低い。

画像: スペック的にはカレラと同じ最高出力370ps、最大トルク450Nmを発揮する。最高速度は290km/h超で、0→100km/h加速は4.5秒(カレラ比で0.1秒短縮)。

スペック的にはカレラと同じ最高出力370ps、最大トルク450Nmを発揮する。最高速度は290km/h超で、0→100km/h加速は4.5秒(カレラ比で0.1秒短縮)。

ポルシェ 911カレラT 主要諸元

●全長×全幅×全高=4527×1978×1285mm ●ホイールベース=2450mm ●車両重量=1445kg ●エンジン=水平対向6気筒DOHCツインターボ ●排気量=2981cc ●最高出力=370ps/6500rpm ●最大トルク=450Nm/1700-5000rpm●トランスミッション=7速DCT ●駆動方式=RR ●車両価格=1432万円

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