タイヤ交換で、高級サスペンションに交換したような上質な乗り心地に!

IRCが満を持してリリースしたラジアルタイヤがRMC810。WEBオートバイでは昨年夏の市販開始時にZ1000に装着し、「普段使いにちょうどいいキャラクター」と速報レポートしたが、今回はXSR700に装着して市街地から高速道路、峠道まで、一般ユーザーの標準的な使い方を想定して走り込んでみた。

XSR700が純正装着しているのはピレリの『ファントム・スポーツコンプ』。ファントムは80年代にバイアス構造のスポーツタイヤとして一世を風靡した製品で、当時はグリップ力の高さとと独特のトレッドパターンで人気を博した。現在のファントムはラジアル構造のツーリングタイヤなのでまったくの別物だが、独自のトレッドパターンはXSRのネオレトロスタイルにマッチしているし、性能的にも何ら不満はない。

テスト車の女性オーナーはファントムからRMC810に交換しても「何が違うのか判りません……」と言っていたが、普通の街乗りライダーで、車両インプレやタイヤテストの経験がない彼女にとっては正直なところだろうし、ある意味正確な評価だ。ファントムとRMC810はトレッドパターンが大きく異なるのでフィーリングも違うという先入観を抱きがちだが、どちらもサーキット走行を視野に入れたスポーツタイヤではなく、市街地での扱いやすさや長時間ライディングでの快適性を重視したツーリングタイヤ。求められる要件が同じなのだから、似たような印象を受けるのは当然だ。

RMC810の空気圧は純正指定値に合わせたが、街乗りではファントムよりもソフトなフィーリング。もともとXSR700は前後サスペンションが柔らかめに設定されているが、RMC810は小さな凹凸の吸収性が良いので初期作動のいい高級サスペンションに交換したような上質な乗り心地になる。引き換えにハンドリングのダイレクトさは弱まるが、接地感はしっかり伝わってくるので神経質さが減る、と言い換えた方が適切だろう。このライダーに優しい特性は高速道路でも同じで、高架部分の継ぎ目を通過する際の衝撃吸収性が高く、ザラ付いた路面でもハンドルに伝わってくる雑味が少ないので、ロードノイズの小ささと合わせて長時間乗っても疲れない特性だ。

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と、ここまでは一年前にZ1000で感じたことと同じ。そこで今回は個人的に興味があったのはワインディングでのハンドリングを確認するため、峠道をみっちり走ってみた。ツーリングタイヤが目指すものは絶対的な旋回力やグリップ力といったスポーツライディング要素よりも、ツーリングの途中に通過する峠道をいかに楽しく快適に走れるかだ。そのためにはバンク角と旋回力の関係がリニアであること、グリップ感がしっかり伝わってくること、コーナリング中の安定性、特にギャップを通過した際の衝撃吸収性が高いことが重要になる。

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RMC810の開発にあたってはこれらの要素に拘ったのだろう。のんびりと流すペースからステップが接地するバンク角、前後サスペンションがフルボトムする高荷重域に至るまで、ハンドルから伝わってくる手応えや旋回力が急に変わることがなく、スポーツタイヤのように荷重移動でタイヤを潰して旋回力を引き出すといった操作も不要。寝かした分だけ穏やかに曲がっていくので実に気楽に走れる。撮影ポイントにはフルバンク中に路面のうねりを超える箇所があったが、唐突に弾かれることがなく、サスペンションの動きに集中できるので車体の挙動変化が大きくても精神的な余裕を持てた。

グリップレベルは平均的なツーリングタイヤよりもスポーツタイヤに近く、ステップのバンクセンサーが接地して上に畳まれてくる深いバンク角でも全く不足なし。グリップバランス的にはフロントが勝っていて、スロットルを意図的にワイドに開いてリアを細かくスライドさせるような走り方でも不安はなかった。かなり走り込んだが、タイヤ温度の上昇による性能劣化やトレッド面の荒れもなし。これもツーリングユースでは安心材料だ。ハンドリング特性や乗り心地はツーリングタイヤだが、峠道レベルなら充分過ぎるスポーツ性を備えている。

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試乗時は外気温が30℃を超えていたのでウォームアップ性能とウエット性能は判断できなかったが、昨年IRCの開発スタッフに話を聞いたところ、その点は充分に配慮したと語っていたので、スポーツタイヤ的な気難しさはないはずだ。

タイヤはブランドイメージに囚われることなく、個々のタイヤが持つキャラクターと自分の使い方を検討して選ぶことが大事。総合的に見てRMC810は「ツーリングタイヤでは物足りないが、スポーツタイヤの扱いにくさは許せない」というライダーにはピッタリのキャラクターだから、性能、ライフ、価格のバランスを考えればツーリング志向の車種はもちろん、スーパースポーツ系モデルでのツーリングにもマッチする。なかなか懐の深いタイヤだ。

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撮影/森 浩輔

■タイヤサイズ
 
フロント
110/70R17 M/C 54H TL 586 110 3 2.75〜3.50
120/60ZR17 M/C (55W) TL 581 122 3.5 3.00〜3.50
120/70ZR17 M/C (58W) TL 599 123 3.5 3.00〜3.50
 
リア
140/70R17 M/C 66H TL 628 145 4 3.50〜4.50
150/60R17 M/C 66H TL 613 147 4 4.00〜4.50
160/60ZR17 M/C (69W) TL 633 169 4.5 4.50〜5.00
180/55ZR17 M/C (73W) TL 631 182 5.5 5.50〜6.00
190/50ZR17 M/C (73W) TL 628 192 6 5.50〜6.00
 
※表記は左からタイヤサイズ、LI、タイプ、外径(mm)、トレッド幅(mm) 、標準リム幅(mm) 、許容リム幅(mm)

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IRC 井上ゴム工業株式会社 公式サイト

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