走る姿は逞しく、そして美しい

画像1: 走る姿は逞しく、そして美しい

Sony Imaging Gallery - Ginza ソニーイメージングギャラリー銀座

住所 〒104-0061 東京都中央区銀座5-8-1 銀座プレイス6階

開館時間 11時~19時
※最終日やイベント開催時に閉館時間が早まる場合あり

電話番号 03-3571-7606

定休日 なし(銀座プレイス休館日を除く)

入場料 無料

展示期間 2018年9月7日(金)~9月20日(木)

展示時間 11:00~19:00

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「鉄砲とロケットの島」に「よかよめじょう」がいると聞いてやってきた。

しかし、島に上陸するなり目にしたのはホンダ・カブで疾走する女子高校生。衝撃的な光景に目を疑う。

「これ、誰のバイク?」

「おいがと(私のです)」

「え、、、誰かにもらったとか?」

「んにゃ、買ってもらった(いえ、買ってもらいました)」

「スーパーカブ、好きなの?」

「おょおょ、当たり前や定番だわ(はい、みんな乗ってます)」

「カブのどんなとこが好き?」

「馬力あってギヤがよこうちゃ、むじょかからな(馬力があってギヤついてて、かわいい)」

種子島の女性は芯が強く、頼りになる働き者が多いことから、近隣の島からは「嫁をもらうなら種子島」と言われている。

ホンダ・カブをかわいい相棒にするたくましい女子高生の姿に、その片鱗を見たような気がした。

スーパーカブだけが彼女たちの足となる。

 種子島。日本の南部に位置するこの島には3万人が暮らし、食料自給率は約160%と言われるほど豊かな島である。「鉄砲とロケットの島」と呼ばれており、日本ではじめて鉄砲が伝来し、今や国産ロケット発射台を持つ宇宙センターが存在する。

また、「嫁をもらうなら種子島から」という評判を近隣の島でよく聞いた。女性は芯が強く、頼りになる働き者が多いらしい。男性は寡黙で控えめな方が多いと聞く。

「鉄砲、ロケット、自給自足、理想の女性像、の島」と聞くと私の興味は頂点に達した。種子島とそこに生きる女性を中心に撮ってみたいと。

 初上陸の日、国道を歩いていると前方より走ってくるホンダ・カブに目を疑った。カブに乗っていたのは制服を着た女子高生。ホンダ・カブといえば商用的イメージしか持っていない私にとって、それは衝撃的な光景だった。

 島にふたつある高校が、遠方通学に推奨するホンダ・カブ。カブの持つ意味は「猛獣などの子供」、小さいエンジンでもパワーがあることを意味する。まさに種子島の女性像(猛獣ではないが・・・)にピッタリだ。

 今年、誕生60周年。累計生産台数は世界一で1億台を突破しているホンダ・カブは、今も世界中で愛され続けているオートバイだ。余談だが、種子島の中心地である西之表市も今年市政60年を迎える。

 スクールバス等の交通手段のない島において、このカブというオートバイが持つ信頼感は、走行安全性、耐久性だけでなく、世界中のどこでも誰でも修理ができるという実績から得たものだろう。

この信頼感は、高校だけでなく父兄のあいだにも浸透している。通学する学生の兄弟、後輩へとそのカブは受け継がれた結果、新旧のカブが高校の駐輪場に並んでいるのだ。

 歴史転換のきっかけとなった鉄砲が伝来した鹿児島の離島は、生活のすべてを賄う食料自給率を誇り、未来を象徴するロケットが空を突き抜け、ホンダ・カブに乗った女子高生が疾走する、なんとも魅惑的な光景が交錯していた。

 そんな島で出会った「カブジョ」たち。真っ白いヘルメットとマフラーを身につけ、美しい海岸や広い田園風景のなかを颯爽と駆け抜けて行く。峠道ではギヤチェンジの音が心地よく響きわたり、林道の木漏れ日のなかからヘッドライトの光が見えて走ってくる様子は逞しくも美しい。見たことのないほど絶妙なバランスのとれた凛々しい姿だ。

 理想的な嫁像をつくり続けている種子島女子たちの成長期に相棒となるホンダ・カブ。あえて“彼”と呼ばせてもらい、“彼”と彼女を島の光景に溶け込ませ撮影していると、島に伝わる「よかよめじょう」という言葉がピッタリと当てはまる。美人で気立てが良く、頼りがいのある娘さんという意味だ。

 そして「カブジョ」とは、ホンダ・カブを操る女子高校生のことである。

“Cub-jo”

The southern Japanese island of Tanegashima is home to some 30,000 people and offers an abundance of farming, fishing, and livestock, with the small island outproducing the amount it consumes. It was the first place for firearms to arrive in Japan and is home to the Tanegashima Space Center, the country’s biggest rocket-launching facility. The island is also known for its strong-minded and reliable working women, while its men are said to be quiet and modest. These images piqued my interest, so I set off to capture the island and its women on my camera.

On the day I arrived to Tanegashima, I could not believe my eyes when I saw a Honda Cub motorcycle head toward me as I walked along the road. Riding the motorcycle was a girl in a high school uniform. To me, the Honda Cub had an ordinary business-like image, so seeing this took me by surprise. The Honda Cub is the recommended mode of transportation for high school students commuting to the two high schools on the remote island. In English, “cub” refers to a young animal and is appropriate for a motorcycle with a small but powerful engine. Although they are not animals, “cub” seemed like an appropriate term to use for these young and tough girls of Tanegashima.

Celebrating its 60th anniversary this year since production first started, the Honda Cub surpassed 100 million units, making it the most produced and perhaps the most loved motorcycle in history. As a side note, the local town of Nishi-no-omote also celebrated its 60th anniversary.

On a remote Pacific island with no school buses or similar transportation, the Cub proves its reliability not only in terms of driving stability, safety, and durability, but also because it has a track record of its ability to be repaired by anyone anywhere around the world. This relationship of trust not only reaches to high school students but also to the parents. These motorcycles are handed down to their siblings and younger students, and new and old Cubs line the parking area of the high school.

This isolated island, which saw the country’s first firearms that would change the course of Japanese history, today offers a fascinating mix of imagery, with the island producing a bounty of food to achieve self-sufficiency, launching rockets into the future, and propelling high school girls down the road on Honda Cub motorcycles.

I set out to capture images inherent to the island while focusing on the relationship between the females of Tanegashima, who continue to create the ideal image of a bride, and their Honda Cub, which has become their partner in their formative years from girlhood to womanhood. All of these “Cub-jo” (Cub Girls) were charming. In the local dialect, “yokayomejo” refers to beautiful, good- natured ladies. “Cub-jo” are high school girls who ride Honda Cub motorcycles.

画像: 大野雅人 1968年 愛知県生まれ。1999年に写真家の妻とともに写真事務所を設立しフリーランスとなる。人物、風景、舞台などの撮影や写真講師・講演、写真誌寄稿などを生業とする。近年は、自然と人間との普遍的な関係を表現することを目的とした作品などが、フランスのフォトアートフェスティバルなどの場で展示発表されている。 YPF 3rd EDITION at YAKUSHIMA JAPAN 第三回屋久島国際写真祭 招待作家

大野雅人
1968年 愛知県生まれ。1999年に写真家の妻とともに写真事務所を設立しフリーランスとなる。人物、風景、舞台などの撮影や写真講師・講演、写真誌寄稿などを生業とする。近年は、自然と人間との普遍的な関係を表現することを目的とした作品などが、フランスのフォトアートフェスティバルなどの場で展示発表されている。
YPF 3rd EDITION at YAKUSHIMA JAPAN 第三回屋久島国際写真祭 招待作家

2013 年 写真展 「Shinra」 (エプサイト) 
2015 年 Yakushima Photography Festival 屋久島国際写真祭 招待作家 
2015 年 写真展「はにい窯」(埴生窯ギャラリー) 
2015 年 Paris Salon de la Photo à Paris 一部展示「はにい窯」 
2015 年 Paris Paris Photo "what's up photodoc" パリフォトフェスティバル Y.P.Fブース展示「Shinra」 
2016 年 Les Rencontres ARLES Photographiques アルル国際フォトフェスティバル サテライト展示「Shinra」 
2017 年 KYOTO GRAPHIE 2017 KG+ Associated Program 京都国際写真祭 2017 Y.P.Fブース展示「REHAB」 
2017 年 アンスティチュ・フランセ九州 JAPON-KYUSHU 屋久島国際写真祭展「REHAB」 
2017 年 Les Rencontres ARLES Photographiques アルル国際フォトフェスティバル サテライト展示「Kirara」 
2018 年 Les Rencontres ARLES Photographiques アルル国際フォトフェスティバル サテライト展示「Cub-jo」「Blue Drifting」 
2018 年(株)ホンダモーターサイクルジャパン スーパーカブ60周年記念イベント特設会場 「Cub-jo」2018年展示、アンスティチュ・フランセ九州 JAPON-KYUSHU YPFセレクション展 「Cub-jo」「Blue Drifting」

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