年間100本以上の映画を鑑賞する筆者が独自視点で今からでも・今だからこそ観るべき映画を紹介。今回の100分の1の映画は、中国が生んだ最強の英雄 孫悟空の冒険をアニメ化『西遊記 ヒーロー・イズ・バック』。

西遊記の孫悟空を、新しいストーリーで鮮烈に蘇らせた傑作

日本が誇る傑作アニメ『ドラゴンボール』の最大の功は、孫悟空という中国が誇る一大ヒーローのイメージを簒奪してしまったことだろう。(同じことがモーリス・ルブランの大怪盗アルセーヌ・ルパンを猿顔の男のイメージに変えてしまった「ルパン三世」にも言えるが)

本作は正真正銘、中国が生んだ長編娯楽小説の大傑作「西遊記」をモチーフにした、斉天大聖 孫悟空の物語だ。ざっくりとしたあらすじは以下のようになる。

孫悟空はもともと不死身の肉体を持つ超人的な猿だが、仙人に弟子入りすることで妖力も得た。さらに竜宮から海の深さを測るための伸縮自在の金の棒、如意棒を得ることで天下無敵になる。やがて慢心しきった孫悟空は天上に攻め上がり、斉天大聖(天と同位の聖人)という位階を得るも治らず、全世界を滅ぼしかけるが釈迦如来の力によって捕らえられ、五行山の下敷きとなる。

その彼を救い出して弟子にするのが西遊記の(そして実在する)偉いお坊さん、三蔵(玄奘)法師であり、その後法師を助けて経典を求めて天竺に行く、というのが本来の西遊記のストーリーだが、本作では、五行山から悟空を救い出すのはリュウアーという僧職見習いの少年。リュウアーは長安で幼子をさらう妖怪たちから幼女を助けようとして五行山に迷い込んだのだった。

伝説の英雄斉天大聖を間近で見て大興奮するリュウアーはこれでもう安心!と興奮するが、蘇ったとはいえ悟空の仙術は釈迦如来によって封じられたままであり、妖怪たちの野望を挫くには封印を解くしかない。しかし、悟空の力は蘇らないまま、妖怪達の魔の手が一行に迫っていた。

果たして悟空はリュウアーの期待に応え、幼児達を救うことはできるのか・・・。

本来の力が失われたまま妖怪との戦いに挑む悟空の侠気、そしてそんな悟空を信じ続ける少年リュウアーの愛らしさに感動

西遊記ファンの僕としては、原作の悟空の存在感をそのまま残しつつ、新たなストーリーで天下の荒くれ者の悟空が真の英雄へと成長する姿を描ききっている本作には、全力で拍手を送りたい。

アニメーション技術としてはハリウッドのそれに匹敵するとは到底いえないが、ストーリーやキャラ作りは一流そのもの。本来のパワーを発揮できずに思い悩む姿も、敵わぬと知っていても自分を信じる少年の為に戦う決意をする心意気も陳腐ではなく、しっかり描いている。脚本が素晴らしい、といえるだろう。

さらに、斉天大聖を心から信じ、敬愛するリュウアー少年の可愛らしさは筆舌に尽くし難い。一途に自分を慕う愛らしい少年がいたら、どんな悪党でも改悛するだろう。この2人の心の交流をきっちり描き出す中国映画。侮れない。というか、絶対観てほしい一本だ。


画像: 映画『西遊記 ヒーロー・イズ・バック』予告編 www.youtube.com

映画『西遊記 ヒーロー・イズ・バック』予告編

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画像: 動畫卡通 《西遊記之大聖歸來》非常好看 www.youtube.com

動畫卡通 《西遊記之大聖歸來》非常好看

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