年間100本以上の映画を鑑賞する筆者が独自視点で今からでも・今だからこそ観るべき映画を紹介。今回の100分の1の映画は、北野武監督作品の大ヒット”ヤクザ映画シリーズ”の『アウトレイジ 最終章』。

「アウトレイジ」とは

2010年6月公開の第1作から続く、人気シリーズの第三弾にてして最終章。

日本の巨大暴力団 山王会と花菱会の権力争いを軸に、昔ながらの任侠気質のヤクザ大友(ビートたけし)らの義理と筋を通さんとする行動によって激化していく、ヤクザ同士の血で血を洗う抗争を描いて人気となった。

今回は日韓をまたぐフィクサー張会長の手配で、韓国の済州島に落ち延びた大友一派が、たまたま遊びにきていた花菱会の幹部との揉め事に巻き込まれたことが、再び互いを裏切り殺しあう激しい抗争の火種を作っていくさまを描いている。

上意下達(じょういかたつ)の中での下克上を目指す悪人たちの争い

もともと日本最大の暴力団組織だった関東の山王会が、奸計によって落ちぶれて、関西の花菱会の傘下になり、そしてその花菱会とコトを構えることになった大友一派の後ろ盾に韓国系のフィクサーがついていたので、話がややこしくなる、というのが大筋。

元は小さなトラブルだったのが、ヤクザたちがこれ幸いと自分の権勢を広げようと各々が画策するから揉め事がどんどん大きくなって、多くの死人を出す羽目になる。とにかく誰もいい人がいない、ある意味救いがないお話で、登場人物たちに感情移入しづらい作品だ。

基本的にヤクザの話なので、親と子、兄弟の絆(もちろん血筋ではなく、盃を交わすという契約上の絆)を最重要視する世界。つまり上が何か言えば、それがなんであろうと下は原則服従、上意下達社会である。ビートたけし演ずる大友は古いしきたりに忠実な昔気質のヤクザだが、他の登場人物たちは、面従腹背で、非常に利己的な目的のために平気で仲間を裏切る。
そういう醜い世界の中で、悪人は悪人なのだが、大友とその部下たちの、損得ではなく筋を通すことに対するこだわりがわずかな救いとなっている(大森南朋演じる、大友を慕う弟分がその典型)。

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