年間100本以上の映画を鑑賞する筆者が独自視点で今からでも・今だからこそ観るべき映画を紹介。
2010年に発生したメキシコ湾原油流出事故を題材に描かれたパニック映画。
マーク・ウォールバーグ、カート・ラッセル、ジョン・マルコヴィッチ、ケイト・ハドソンなど人気俳優を揃えたことでも話題に。

原題は「Deepwater Horizon」(ディープウォーター・ホライゾン)

工期の遅れと予算超過から安全テストの徹底を怠ったことで、掘削中の海底油田から逆流してきた天然ガスが引火し、大爆発を起こした、いやゆるメキシコ湾原油流出事故の模様を映画化。

当時は126人の作業員が働いていたが、行方不明者は11名。負傷者は17人。被害総額は数百万USドルとされる。この事故についてはいくつかの映画が制作されているが(↓)本作は海洋被害ではなく従業員の脱出劇にフォーカスしたパニックアクションになっている。

関係ないが、正直邦題のバーニング・オーシャンというのはちょっといただけない。
原題であり、事故が起きた場所であるDeepwater Horizon(ディープウォーターホライゾン)でよかったのではないか?こういう実話ベースの映画には、興行的な目標とは別に、かつて起きた災厄や事故、事件に対する記憶を風化させないという意義があるはずで、そこをあえて陳腐な”わかりやすそうな”ネーミングに翻訳しなくてもいいと僕は思う。

実際に起きた事故の発生経緯と脱出を丹念に描いたスリリングな作品

メキシコ湾原油流出事故とは、BPの石油採掘施設ディープウォーター・ホライゾンで発生した火災事故だ。工期遅れと予算超過を理由に、採掘用のパイプ固定のためのセメント・チェックなどの安全対策に十分な時間と配慮をしなかったために起きたとされ、採掘権を獲得した英国BP社(ブリティッシュ・ペトロリアム社。エネルギー関連事業を展開する多国籍企業。かつて石油メジャーの一つとされた)の過失事故とされている。

2015年7月、米連邦政府、5州、400地方自治体との和解が成立し、BPは総額最大187億ドルを18年間にわたり年平均11億ドルを支払う(訴訟費用131億ドル、清掃費用141億ドルは別に支払い済み)。結局BPの支払い総額は約460億ドルになる(民間への支払いは含まれない)

本作の中でもBPから派遣されている幹部たちの傲慢さや、杓子定規に工期を守らせようとする横暴さが目立ち、採掘作業を行うトランスオーシャン社所属の従業員たちの過失を問う描写はない。

全体的に事故の発生前と発生後の様子を淡々と描いている。事故自体は、激しく吹き出る泥水や燃え盛る炎と粉塵などで凄まじく、描き方は淡々としつつも逃げ惑う人々のパニックは十二分に伝わってくる。ヒロイックな行動をする主人公たちも、超人的な活躍をするわけでなく、あくまで人間として立派な、なんとか生還して家族のもとに帰らんとする思いを抱えつつも、仲間を見捨てず少しでもできることをしようとするプロとしての責任を果たす姿を、やはり淡々と、そしてリアルに描いている。

画像: 『バーニング・オーシャン』2017年9月6日(水)Blu-ray & DVD発売 youtu.be

『バーニング・オーシャン』2017年9月6日(水)Blu-ray & DVD発売

youtu.be
コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.