この週末は全日本ロードレース第5戦・筑波大会が行われました。ここまでの4戦のうち、第2戦・鈴鹿、第3戦オートポリスはJSBクラスだけが開催されていたので、JSBクラスは7レース終了、J-GP3/GP2/ST600クラスは2戦しか終了していない、というおかしな状況が生まれていたのです。J-GP3/GP2/ST600のチーム関係者、ライダーにしてみれば、開幕戦もてぎが4月8日、次の菅生が6月17日と、開幕していきなり2か月以上待ち、と。なかなかリズムに乗れないですよ、コレハ。実は次も2か月空いちゃうんですけどね……。
なので、この筑波大会はJSBクラスを除く、J-GP3/GP2/ST600クラスのみの開催となりました。それも各クラス2レースずつ!(笑) ちょっと帳尻合わせ感も否めませんが、ひとまず筑波大会終了で、JSBクラスは7レース、J-GP3/GP2/ST600クラスは4レース終了、ということになりました。ち、ちょっとは追いついたかな。

というわけで、この筑波大会は土曜に予選と決勝レース1をやって、日曜はレース2。併催のMFJカップ・JP250も土曜&日曜開催なので、2日で8レース、日曜にはつくば選手権で行われているTCフォーミュラも開催されたので合計9レース! しかも、関東が梅雨明け宣言、イキナリの連日猛暑と、なかなかハードな大会になりました。でもまぁ、レース数が多いのは(ライダーやチーム関係者は大変だろうけど・笑)大歓迎! 日本選手権がシリーズ7レースしかない、チャンピオンの総獲得ポイントが100ポイントそこそことか……寂しいですからね。

この筑波大会、JSBクラスにはなかなか見られない「世代闘争」が大きなテーマとしてはっきり見えた大会でした。世代闘争なんつーと大袈裟ですが、まぁ若手とベテランの争いですよね。野球にしろサッカーにしろ、スポーツの世界って、このテーマが常にクローズアップされるものですが、JSBクラスはそうでもないもんね。
ちなみに、3クラスの全6レース、表彰台登壇はこんな感じです。

J-GP3 レース1/優勝:埜口遥希(17) 2位:小室 旭(41) 3位:菅原 陸(18)
    レース2/優勝:岡谷雄太(18) 2位:埜口遥希(17) 3位:古市右京(45)
J-GP2 レース1/優勝:岩戸亮介(20) 2位:関口太郎(42) 3位:作本輝介(21)
    レース2/優勝:関口太郎(42) 2位:岩戸亮介(20) 3位:作本輝介(21)
ST600 レース1/優勝:長尾健吾(22) 2位:小山知良(35) 3位:岡本裕生(18)
    レース2/優勝:岡本裕生(18) 2位:小山良知(35) 3位:國峰啄磨(20)

どーですか、この結果! 6レース中6人の優勝者は、17歳/18歳ふたり/20歳/22歳……そして42歳。関口は12月生まれですから「オレ、ことし43歳ですよ」と。岩戸は8月生まれだから、ことし21歳。もちろん、年齢ばかりがクローズアップされるのは、関係者みんな本意じゃないでしょうが、ひとつの目安としてね、関口が、小室が、古市が40歳代の壁を守った、と! 小山が30歳代の高い壁になっている、とそういう意味です。

画像: #62埜口は、全日本初参戦初優勝 今シーズンはイデミツ・アジアタレントカップに参戦中で、ここまで4戦3勝を挙げてのチャンピオン候補です

#62埜口は、全日本初参戦初優勝 今シーズンはイデミツ・アジアタレントカップに参戦中で、ここまで4戦3勝を挙げてのチャンピオン候補です

画像: レース2では、埜口は#61岡谷と一騎打ち 最後はふたり同着で写真判定の末、岡谷が今シーズン3勝目

レース2では、埜口は#61岡谷と一騎打ち 最後はふたり同着で写真判定の末、岡谷が今シーズン3勝目

画像: レース1は左から41歳、17歳、18歳の順。3位菅原はレース2で無念の転倒ノーポイント

レース1は左から41歳、17歳、18歳の順。3位菅原はレース2で無念の転倒ノーポイント

オープニングレースのJ-GP3レース1に埜口が勝って、おぉ埜口くん(おじさんメディア、若いライダーをどうしても「くん」づけしちゃいがち)17じゃなかったっけ、と意識した中の人。レース順序はJ-GP2→J-GP2→ST600ですから、土曜に17歳、20歳、22歳が優勝して、日曜もこんなではエラいことになる、つまり全クラス、10代20代のライダーだけが表彰台に上がるという、日本のレース史上なかなか大きい日になる、と思ってたんです。
明けて日曜のJ-GP3レース2で、序盤にレースをリードしたポールポジションの古市が順位を落とし始めて、岡谷が4戦3勝目を決めたとき、これはいよいよヤバい、と思いました。次のJ-GP2は、土曜のレース1で岩戸が関口を打ち負かしたレースでしたから、うわわタロー(同世代のライダーを呼び捨てしがち・笑)、がんばれよう、と。ちなみに土曜のJ-GP2レース1は、スタートから前に出た岩戸の一瞬のミスを突いてトップに立った関口が、最終ラップに逆転を許して岩戸優勝、関口2着という結果に終わってしまっていたのです。

画像: レース1、逃げる岩戸を追い詰めた関口は、一度前に出るも、最終ラップで逆転されての2位

レース1、逃げる岩戸を追い詰めた関口は、一度前に出るも、最終ラップで逆転されての2位

画像: レース2では前半に大きな差をつけられながらも逆転した#44関口、涙の優勝でした

レース2では前半に大きな差をつけられながらも逆転した#44関口、涙の優勝でした

画像: 4戦2勝でランキングトップにいる岩戸 チームメイトの作本は菅生の転倒が響いてランキング4位

4戦2勝でランキングトップにいる岩戸 チームメイトの作本は菅生の転倒が響いてランキング4位

日曜のJ-GP2レース2、レース序盤はやはり岩戸がリードし、2日連続の岩戸×関口、という展開。しかし、最後の最後までバチバチとバトルした土曜とはちょっと違って、レース前半に岩戸が関口を引き離しはじめ、あらら、これは菅生から岩戸3連勝か、という流れになってきてしまったのです。
しかし、レース中盤あたりから関口がオニの追い上げ! 1周ごとに岩戸との差を詰め、目に見えるくらい接近。ラスト4周――場内の声援も、ファンの多い関口に集中(しているように見えました)、歓声がどんどん大きくなる中、岩戸をパスした関口が、そのまま3周、20歳を抑えきって優勝! フィニッシュしてから、タローがどんな騒ぎ立てたウィニングランするかと思ったら、わりとスーッと…… そのうちヘルメットのシールドちょい開けして目頭を押さえ始めました。うあ、タロー泣いてるじゃん……と、見たらまわりのメディアのみんなもつられてました。メディアセンター、大歓声ののち急に静かになりましたからね。

タローの苦労、ベテランのメディアほど知ってます。
タローは2001年にGP250のチャンピオンになって、ヨーロッパにわたってグランプリに挑戦。でも、資金不足でシーズン途中にチームから離脱、そのままあきらめて日本に帰るのは嫌だ、ってヨーロッパ選手権に挑戦、ここでタローは全勝優勝! ふたたびWGPに返り咲くのです。
しかし、05年にアプリリアに乗れるようになった、って喜んでたら、開幕直前にメインスポンサーが行方不明になっちゃって、あぁ今年は参戦ダメか、と思ってタロー個人のウェブサイトで個人スポンサーを募ったら、それがネット掲示板「2ちゃんねる」に広まって「関口選手を助けよう!」ってどんどん資金が集まりはじめて、タロー個人のパーソナルスポンサー、それに見ず知らずの2ちゃんねるユーザーと合わせて7~800万円集まった!、そんなこともありました。
そのあと、GPに復帰したタローはケガに泣かされることも多く、毎年1回は大けが(笑)。 いや、笑っちゃうのは失礼なんだけど、どんな大けがをしてもうタローだめかも、って思われても、そのたびニコニコとデカい笑顔で復帰してくる――そんなタローが、みんな大好きなんですね。ファン多いもんなあ、タロー。

画像: レース1を勝った#16長尾を祝福する#230小山 うしろに#51岡本

レース1を勝った#16長尾を祝福する#230小山 うしろに#51岡本

画像: レース2を勝った岡本はランキングトップをキープ! しかしランキング2位に3ポイント差で小山

レース2を勝った岡本はランキングトップをキープ! しかしランキング2位に3ポイント差で小山

画像: 7月で19歳になる岡本ユウキ 宗和孝宏監督のもと、世界デビューも狙っています

7月で19歳になる岡本ユウキ 宗和孝宏監督のもと、世界デビューも狙っています

そんなタローが優勝、それも16年の最終戦以来の優勝ということで、みんなジーンとしちゃったんです。中の人、帰り際に会えなかったけど、おめでとうタロー、カッコよかったぜ!
日曜の最終レースであるST600レース2は、35歳小山が18歳岡本に敗れてしまったんですが「オレの目標はチャンピオン。1レースの優勝より、1ポイントでも稼いで、最後に笑えるシーズンにしたい」と小山。それもベテランらしいレースっぷりですね。

そして、J-GP3で小室、ST600で小山、J-GP2で関口が奮起したのは、ひとつの大きな理由がありました。それが、ある51歳(でも8月に52歳)ライダー、13年ぶりの突然のレース復帰でした。
その話は、また次に――。

撮影・文/中村浩史

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