等身大で楽しめるピュアスポーツ

ハスクバーナの新しいストリートバイク「ヴィットピレン701」の海外試乗会がスペイン•バルセロナで行なわれた。市街を抜け、高速道路で郊外に向かって30分余り走ると、そこには格好のワインディングが広がる。そこを走り抜けたら、パーキングのカフェで一服。これって、カフェレーサーの典型的な楽しみ方ということか…。

画像: Husqvarna VITPILEN 701 価格:135万5000円 日本導入時期:2018年7月予定 最高出力:75PS/8500rpm 最大トルク:7.3㎏-m/6750rpm

Husqvarna VITPILEN 701
価格:135万5000円
日本導入時期:2018年7月予定
最高出力:75PS/8500rpm
最大トルク:7.3㎏-m/6750rpm

僕自身、海外試乗会で何度も経験してきたシチュエーションながら、なぜか特に今回はコーヒーがうまい。これは、ヴィットピレンのカフェレーサーらしいキャラのおかげで、健康的な疲労感と濃密な充実感に浸ることができたからに違いない。街中や高速道路をもっと快適に移動できるバイクは、このミドルクラスにおいてもいくらでもある。でも、少々は前傾姿勢を強いられても、適度にテンションが高まった気分に、ワクワクしてくる。それに、見かけほどはスパルタンでなく、シートは着座位置の自由度が大きいので、前に座れば上体の前傾度もきつくなく、意外にも苦痛でない。

また、エンジンは低回転域の粘りも抜群で、渋滞路でも神経質さがない。全域で鼓動感があっても、二軸バランサーのおかげで不快な振動がない。そして何より、ワインディングではコーナリングが楽しい。693ccのエンジンはやや高回転高出力化され、4000rpm以下ではややスムーズさに欠けるが、逆に5000〜8000rpmのトルクの高まりが強調されるだけに、回すのが楽しくなってくるマシンだ。コーナーに合わせてギヤを的確に選ぶ必要があるが、それも面白さだ。それに、オートシフターはアップダウン両効きで、スリッパークラッチも装備されるから、ミスもなく、楽にこなすことができる。

ハンドリングも、軽量スリムなシングルは、ヨッコイショ感やタイムラグもなく、意のままにマシンの方向を定めることができる。でも、あえて軽快感を前面には出さず、適度の重さと安定感が備わっていて、安心感たっぷりに自信を持って操ることができる。ここでは、腰を引いて前傾スタイルで身構え、ダイナミックに荷重コントロールしてやるのがいい。まさにスポーツだ。

画像: 軽量スリムなヴィットピレンは、コーナリングも意のままにこなすことができる。しかし、スリムな車両にありがちなヒラリ感ではなく、適度の重さと落ち着きが保たれ、安定性指向を感じさせる。だからこそ、マシン任せではなく、ライダー主導でのライディングを楽しむことができる。エンジンは高回転まで回すのが楽しく、ビッグシングルらしいトルクで軽快に走ることができる。

軽量スリムなヴィットピレンは、コーナリングも意のままにこなすことができる。しかし、スリムな車両にありがちなヒラリ感ではなく、適度の重さと落ち着きが保たれ、安定性指向を感じさせる。だからこそ、マシン任せではなく、ライダー主導でのライディングを楽しむことができる。エンジンは高回転まで回すのが楽しく、ビッグシングルらしいトルクで軽快に走ることができる。

シングルだからこそ使えて熱く楽しめる

画像: シングルだからこそ使えて熱く楽しめる

それにしても、こんな気分の良い疲労感と充実感は、最近はあまり味わったことがない。これがビッグシングルの良さでもあるのだろうか。使いきれないほどのパワーに振り回されず、それもエンジンを回してパワーを引き出すのではなく、トルクでマシンを前に進めてやる特性だから、急き立たされることがない。

ミドルクラスとしても異例に軽量だし、特に寝かし込みでスリムなシングルは、余韻も少ないので、自分の感覚に対し挙動の遅延もない。この一体感の高いハンドリングは、四輪車で言えば、2シータークーペみたいなものかもしれない。しかも、こうした素性をマシンがひけらかさないから、ライダー主導で楽しめるというわけだ。

さて、今回の試乗会ではおまけがある。無事、会場のホテルに到着後、写真撮影のために一人で市内に繰り出しのだが、一方通行のうえ、多くの反対方向路が平行に走っておらず、迷子状態。また夕刻の渋滞にはまり、1時間ばかり市内をさまようことになってしまったのだ。それでも、無理のないライポジや低回転域の柔軟性に助けられ、難なくこなせる。足着き性があまり良くなくても、片足でマシンを支えるのに不安はない。右端に車両を停めると、右端が低くて跨ったままサイドスタンドを操作できなくても、一瞬、両足を浮かせたタイミングで、それをこなすこともできた。また、苦し紛れに、横断歩道を押して渡り、一方通行に対処したときも、車重が軽く、無理なくマシンを扱えた。災い転じて、街乗りに使えることを確認できた次第である。

気が向いたらどこでも楽しめることが、バイク本来の姿だと考えるが、その意味で、このヴィットピレンはまさに原点バイクと言っていい。実用性第一義でもなく、そのバランス加減も絶妙である。

画像: コーナーでは腰を引いて上体の前傾度を高め、ダイナミックに荷重コントロールしてやれば、より一層、楽しめる。

コーナーでは腰を引いて上体の前傾度を高め、ダイナミックに荷重コントロールしてやれば、より一層、楽しめる。

SPECIFICATIONS
全長×全幅×全高 NA
ホイールベース 1434±15㎜
シート高 830㎜
車両重量 約157㎏(半乾燥)
エンジン形式 水冷4ストロークOHC4バルブ単気筒
総排気量 693㏄
ボア×ストローク 105x80㎜
圧縮比 12.8:1
最高出力 75PS/8500rpm
最大トルク 7.3㎏m/6750rpm
燃料供給方式 インジェクション
燃料タンク容量 約12L
キャスター角/トレール 65°/NA
変速機形式 6速リターン
ブレーキ形式 前・後 ディスク・ディスク
タイヤサイズ 前・後 120/70-17・160/60-17

DETAIL

画像: DETAIL
画像: ヴィットピレン701は、グループ企業のKTMで使用しているエンジンとフレームをベースに開発。先進的なデザインでカフェレーサー向きに最適化されている。

ヴィットピレン701は、グループ企業のKTMで使用しているエンジンとフレームをベースに開発。先進的なデザインでカフェレーサー向きに最適化されている。

画像: 車体ディメンションはカフェレーサー風にコンパクトに仕上げられている。フレームはヘッドパイプを後方に引くとともに角度を立て、さらに車両姿勢を前下がり後上がりとすることで、キャスター角を立たせ、ホイールベースは1434㎜としている。燃料なしでの装備重量は157kgと発表されている。

車体ディメンションはカフェレーサー風にコンパクトに仕上げられている。フレームはヘッドパイプを後方に引くとともに角度を立て、さらに車両姿勢を前下がり後上がりとすることで、キャスター角を立たせ、ホイールベースは1434㎜としている。燃料なしでの装備重量は157kgと発表されている。

画像: エンジンは水冷4ストロークOHC4バルブ単気筒。シリンダヘッド前側に第2バランサーを設けて不快な振動を軽減している。

エンジンは水冷4ストロークOHC4バルブ単気筒。シリンダヘッド前側に第2バランサーを設けて不快な振動を軽減している。

画像: ユーロ4適合で、マフラーがプリサイレンサーとファイナルサイレンサーを持つ。軽量かつハイパワーな693ccビッグシングルエンジンだ。

ユーロ4適合で、マフラーがプリサイレンサーとファイナルサイレンサーを持つ。軽量かつハイパワーな693ccビッグシングルエンジンだ。

画像: 2015年発表のコンセプトモデルのフォルムが忠実に再現されたタンクは、側面の“弁当箱”風の膨らみが特徴的だが、フィット感に一切の支障はない。

2015年発表のコンセプトモデルのフォルムが忠実に再現されたタンクは、側面の“弁当箱”風の膨らみが特徴的だが、フィット感に一切の支障はない。

画像: ラジエーターの右側にリザーバータンクが設けられ、水量も点検しやすくなっている。タンクは専用のハスクバーナのマーク入りカバーで覆われている。

ラジエーターの右側にリザーバータンクが設けられ、水量も点検しやすくなっている。タンクは専用のハスクバーナのマーク入りカバーで覆われている。

画像: メーターはレトロ調の丸型だが、液晶ディスプレイで機能上は表示内容も含め今日的。タコメーターはバーコード式だが、目盛りは周囲に円弧状に配置される。

メーターはレトロ調の丸型だが、液晶ディスプレイで機能上は表示内容も含め今日的。タコメーターはバーコード式だが、目盛りは周囲に円弧状に配置される。

画像: ヘッドライトもレトロ調の丸型だが、ハイとローが上下に分離され、革新性を感じさせる。

ヘッドライトもレトロ調の丸型だが、ハイとローが上下に分離され、革新性を感じさせる。

画像: シフトペダルは(ブレーキペダルも)、踏み込み部が調整式になっている。ペダル長が写真のように長めのままでも、25.5cmの足で操作感は自然であった。

シフトペダルは(ブレーキペダルも)、踏み込み部が調整式になっている。ペダル長が写真のように長めのままでも、25.5cmの足で操作感は自然であった。

画像: シートは座面が広くフラットで、左右の角が太ももの付け根に当たり、最初は違和感もあった。が、乗っているとお尻の座りがよく、スポーティかつ快適。

シートは座面が広くフラットで、左右の角が太ももの付け根に当たり、最初は違和感もあった。が、乗っているとお尻の座りがよく、スポーティかつ快適。

画像: スイングアームはアルミダイキャスト製。アクスル支持のライセンスブラケットは、多くのモデルはステーが左側だが、これは右側で支持される。

スイングアームはアルミダイキャスト製。アクスル支持のライセンスブラケットは、多くのモデルはステーが左側だが、これは右側で支持される。

画像: フロントブレーキはブレンボのφ320㎜径ディスクとラジアルマウントキャリパー。WP製の43㎜径倒立フロントフォークは135㎜のストローク量をもつ。

フロントブレーキはブレンボのφ320㎜径ディスクとラジアルマウントキャリパー。WP製の43㎜径倒立フロントフォークは135㎜のストローク量をもつ。

RIDING POSITION(身長:162cm 体重:63kg)

基本的に上体の前傾度は強めであるが、前後の着座位置に自由度があり、写真のように前に座れば、一般走行での快適さを保つことができる。足着き性は数値よりも高く感じるが、車体が軽量スリムなため、バランスを保ちやすく、不安感はあまりない。

画像1: RIDING POSITION(身長:162cm 体重:63kg)
画像2: RIDING POSITION(身長:162cm 体重:63kg)
画像3: RIDING POSITION(身長:162cm 体重:63kg)

(文/写真 和歌山利宏)

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