丸Zのアイコン、カワサキ空冷4気筒Zを象徴するZ1

丸Z、角Z、Z1だMk‐Ⅱだと言っても、新車で売られていた当時に日本で新車を手に入れられた人は少なかった。御存知の通り、その時代は大型2輪に乗るには、2輪免許をいわゆる「限定解除」することが必要で、ハードルが高かった。そして、確固たる理由はまったくもって不明だが750㏄を超えるオートバイは国内では売られていなかった。さらに、1985年のプラザ合意まで1ドルは200円台中盤だったわけで、お金持ちしか買えなかった。

そんなこんなで、日本でZ1やMk‐Ⅱが普通に見られるようになったのはバブル景気の頃からだ。実際に今のような人気になったのは90年代に入って。北米を中心にした海外で隠居暮らしをしてたような古い丸Zや角Zが海を渡って日本にやって来て、「絶版車」という言葉の誕生とともにスターダムにのし上がったのである。いろんな車種がある中で、カワサキ空冷Zは常に旧車市場の中心にいる。

なぜ、そんなに人気なのだろうか。好きな人やオーナーにたずねると、多くの人が「カッコイイから」と答える。わかるけどわからない、難しいパターンの回答だ。恋をした理由を聞くようなもので「好きになったから」と言われたら、そうだよね、としか答えられない。しかしそこで引き下がらずに、もっと深く勝手に「カッコイイから」の理由を考えてみる。

画像: 丸Zのアイコン、カワサキ空冷4気筒Zを象徴するZ1

丸Zのアイコン、カワサキ空冷4気筒Zを象徴するZ1を眺めると、確かにスタイルは美しい。その中で重要なファクターはテールカウルがあることではないか。4気筒エンジンのパイオニア、ホンダCB750FOURにはテールカウルがなかった。それが2台の見た目の大きな違いになっていると思う。カワサキは1971年に発売した350SSで初めてテールカウルを装着している。だからこれが初めてではない。これのおかげで独特なスラリとしたプロポーションが出来上がっている。

ただ理由はそれだけにとどまらない。筆頭であるZ1に近いほど人気があることに注目。Zファンは怒るだろうが、一般的な感覚では、Z1もZ900もZ1000も丸Zタンクスタイルで似たようなものである。だけど現在の丸Z市場で初代Z1の価格がいちばん高く、Z1A、Z1Bがそれに続き、Z900やZ1000はZ1の半額かそれ以下だ。ほぼ国内だけでしか売られなかった750RS[Z2]は販売台数が少ないこともあって、値段が付けられない高騰ぶり。カワサキだけでなく2輪史において歴史的な1台であるZ1には、所有することにもステイタスがある。それも人気の理由になっている。

ということは、丸Zスタイルとカワサキ2バルブ空冷4気筒が好きなら、今ならZ900とZ1000は狙い目だ。Z1と走りに違いはあるが、大きく劣ることなんてない。ましてやこっちの方が新しいのだから。

一方角Zは丸Zより車種が少ない。約半分。Z1000Mk‐Ⅱ、Z750FX、Z1‐Rも入れてもこれだけ。

燃料噴射のマニアックなZ1000Hと、シャフトドライブのZ1000STを加えるかどうかは協議が必要だ。生産された数も少ないから、市場に出回っている数も自ずと少ない。

画像: 一方角Zは丸Zより車種が少ない。約半分。Z1000Mk‐Ⅱ、Z750FX、Z1‐Rも入れてもこれだけ。

開発ではなく市販順ならZ1‐Rから「角Z」が始まったと言える。当時流行していたカフェレーサースタイルを取り入れた独特のルックス。丸Zを生んだZ1のデザイナーは多田憲正さん。角Zの始祖たるこれは、テールカウルを採用した1973年モデルの500SS[マッハⅢ/H1D]を手掛けた栗島忠弘さん。斬新でそれまでとは違う、新時代のスーパースポーツだと感じさせるものだった。

Mk‐Ⅱには、そこから繋がるわけだ。角Zは同じカワサキZシリーズながら、他社を含めても一番の丸Zへのアンチテーゼなのである。だから今も丸Zと角Zはユーザー層がちょっと違う。

今回の特集でインタビューをしたブルーサンダースの岩野さん(P58)は「Mk‐Ⅱのひとは飛ばして走るひとが多い」と言っていた。言い換えるなら「大切にしているが、愛でるように乗るのではなく、積極的にスロットルを開けて乗る」ということだ。丸Zより新しく、走りの性能を高めたものだからというのもあろうが、21世紀の現在から見れば、その違いは小さい。

丸Zと角Zはオーナー像が別れるところがおもしろい。どっちがいいかと購入で悩む人はいない……とは言い切れないが、今回の取材でわかったが、どちらかと言えば少数派なのは間違いない。角Z好きはハードコアなライダーと言えるのかもしれない。

(文:濱矢文夫、写真:松川 忍、車両協力:ウエマツ)
※オートバイRIDE 2017年12月号より

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