ニューレクサスの発表が迫る中、アメリカのサンフランシスコで国際試乗会が開催された。まだ最終的な量産型ではなく、プロトタイプということだったが、その実力のほどは十二分に知ることができた。ついにレクサスもここまで来たか、という印象だ。
画像: レクサスLS 500 F SPORT。迫力あるスピンドルグリル。

レクサスLS 500 F SPORT。迫力あるスピンドルグリル。

斬新なスタイリングは“決意”の現れ

レクサスLSが11年ぶりにフルモデルチェンジを受けた。なぜ、ここに至るまで11年もの歳月を要したのかという疑問はあったが、試乗をしてその時間は決して無駄ではなかったということがよくわかった。プレミアムブランドであるレクサスが新たなステージへとステップアップするため、さらにはそのフラッグシップのモデルチェンジのタイミングを考えたとき、いまこの時期である必要があったのだ。

まずはエクステリアデザインから見ていこう。レクサスと言えば“スピンドルグリル”がデザインアイコンだが、これを初採用したのは2012年デビューのGSだった。その後、他モデルも順次採用して、LSについてもマイナーチェンジでスピンドルグリルとなったが、これはあくまでも仮の姿という印象を拭いきれなかった。

フラッグシップモデルであるLSがフルモデルチェンジ時に、一からデザインをしてスピンドルグリルを身につけたとき、初めて一連のレクサスデザイン変革はひと区切りとなるはずだ。そういう意味でこのニューLSの登場で、ついにレクサスは5年がかりの一大プロジェクトを完遂したと言ってもいいだろう。

そして、この新しいスタイリングには、レクサスというブランドの将来の姿も見ることができるが、そこにはトヨタの決意が感じられる。いまだかつて、このクラスにこれほど躍動感にあふれ存在感と風格を感じさえるデザインがあっただろうか。実車を目の当たりにしてそうしたことを強く感じた。レクサスは他のプレミアムブランドとは一線を画して、レクサスとして自ら道を切り開いて行くということだ。

画像: 角度によって多彩な表情を見せるスピンドルグリル。

角度によって多彩な表情を見せるスピンドルグリル。

ディテールでの注目はまずCADデータを匠が丹念に作り込んだというスピンドルグリルだ。フラッグシップの存在感を示すために「ボディ全体の塊と一体感がありながらグリル枠フレームの形状に呼応した流れを感じさせる緻密なメッシュ」にしたという。その実現のためにCADモデリングの匠がコンピュータで綿密に全体のバランスを整えた上で「線一本、面ひとつひとつに至るまで、数千個におよぶ面を手作業で作り込んだ」そうだ。

そして出来上がったニューLSのスピンドルグリルは、従来のどのレクサス車ともレベルが違う。東京モーターショーで一般公開されるなど、これから間近で見る機会があると思うが、その折には全体の美しさだけでなく、このスピンドルグリルに大いに注目してもらいたい。ただ“日本が残念”なのはここにナンバープレートが付いてしまうことだ。致し方ないがそんなことが気になるほどの仕上がりぶりだ。

画像: 6ライトを採用してパーソナルムードを高めたスタイリング。

6ライトを採用してパーソナルムードを高めたスタイリング。

次にサイドビューを見てみよう。ここでのポイントは6ライトを採用したことだ。6ライトとは窓が左右に3つずつ計6つあるということで、具体的にはリアドアの後ろの部分に小さい窓がある。これはとくに目新しい手法ではないが、一般的にはフォーマルなモデルに採用されることはあまりない。レクサスのフラッグシップは“ありきたりのフォーマルカーではない”ということをこういう形でも宣言しているわけだ。

実際にサイドからリアにかけての造形は美しい。さらにドアフレーム、サイドウインドウ、ボディの段差を極限まで小さくした面一構造の6ライトは、風切り音の低減にも貢献しているそうだ。

リアビューはもっとも従来モデルの面影を残すところだが、そこにも新世代レクサスの象徴である、前方と下に伸びるデザインのリアコンビランプが採用されている。一足先にデビューしたスポーツクーペ、LCのリアビューに相通じるものがある。

画像: リアコンビランプのデザインはレクサスLCとの共通性が感じられる。

リアコンビランプのデザインはレクサスLCとの共通性が感じられる。

心配りに溢れるインテリア

インテリアも見どころが多い。まず運転席に座って感じるのは非常に前方視界がよくて開放感があることだ。また、Aピラーとドアミラーの間には隙間があって、斜め前の安全確認もしやすい。内外装にわたってデザインの妙が様々な部分で感じられるが、それは機能を重視した上でのことだ。単なる“デザインファースト”ではなく、様々な配慮があるのだ。

画像: 前方視界がよく、スポーティなインパネまわり。

前方視界がよく、スポーティなインパネまわり。

ドライビングポジションは低からず高からず、アクセル&ブレーキペダルも自然な位置にありリラックスできる。クーペのLCと同じプラットフォームだが、ドライバーのヒップポイントはLSの方が45mm高いそうだ。LSはショーファーで使われることもあるモデルだが積極的にドライビングしたくなる、そういうインパネまわりだ。

また、インテリアで使われている素材にも注目したい。オプションでフロントのドアノブ周辺に切子(カットガラス)のパネルを装着したり、さらにドアトリムにはハンドプリーツを選ぶこともできる。従来から日本の高級車には“和の趣”を取り入れたものはあったが、それらはうまく馴染んでいないことが多かった。しかし、これは違う。自然にLSのインテリアに溶け込んでいる。これも長年の経験がなせる技なのだろう。

画像: ドアトリムのハンドプリーツとドアノブ周辺には切子とパネル。

ドアトリムのハンドプリーツとドアノブ周辺には切子とパネル。

リアシートの充実ぶりにも触れなくてはならない。ニューLSのボディは標準ボディのみとなり、従来あったロングホイールベース版はなくなった。それゆえシートのカップルディスタンス(前後シートの間隔)は従来型のロング版より短くなってしまった。しかし、助手席のシートスライド量を増やしたことで、その後ろの“VIP席”は逆に100mmも前後が広くなったそうだ。

また、リアはセンターアームレストを素材、形状ともにクオリティアップ、さらにドア側にもアームレストを最適配置して、いっそう寛げるシートになった。LSの乗車定員は5名だが実際にはドライバープラス後席にひとりふたりということが多いようで、それに対応したわけだ。

画像: リアシートは従来モデル以上に寛げる空間になった。

リアシートは従来モデル以上に寛げる空間になった。

明確なスポーティ志向

パワートレーンは3.5L V6DOHCツインターボ(最高出力421ps)と3.5L V6DOHC+モーターのハイブリッド(システム最高出力359ps)の2種類があり、それぞれにFRとAWD(4WD)が設定されている。さらに仕様としては「LUXURY、EXECUTIVE、F SPORT」の3種がある。

まずV6ツインターボのLS500 EXECUTIVE、続いてV6ツインターボのLS500 F SPORTに乗ったが、この世界トップレベルの熱効率を実現したという新エンジンと10速ATの組み合わせのフィーリングは非常にいい。最高出力421ps、最大トルク600Nmを誇るが車重も2200kgほどとそれなりにあるので圧倒的なパワー感とはいえないが、必要にして十分以上の力をアクセルペダルの踏み込みに応じて的確に発揮される印象だ。

ただ、路面が荒れているところでは、それがリアルにわかる“コツコツ”という感じがあった。その印象は前後245/45RF20サイズのタイヤを履いたEXECTIVEの方が強く、後輪は275/40RF20になるF SPORTの方が乗り心地はよかった。LSは全車エアサスペンションを採用しているが、FRのF SPORTは後輪ステアも行う。このこととタイヤサイズの差による印象の違いだろう。いずれにしろ、ニューレクサスLSはかなりなスポーティ志向であることは間違いない。

画像: サンフランシスコの金門橋を疾走するレクサスLS。

サンフランシスコの金門橋を疾走するレクサスLS。

次にハンドルを握ったのはハイブリッドでAWD仕様のLS500h EXECTIVEだ。ハイブリッドのシステム自体はLCと同じだが、ギアのファイナル比が異なる。FRでの比較になるがLCが“3.357”、LSが“3.615”だ。車重が200kgほど違うので、それに対応した結果だろう。また、ドライブモードの制御もLCが積極的に変速するのに対して、LSはビジーに変速しないということだった。

このハイブリッドAWDの走りは気持ちよかった。ステアフィールもいい感じで、ハイブリッドとは言え、従来モデルの600hのような“ショーファーイメージ”ではなく、積極的にハンドルを握って走りたくなるモデルだ。

さらに試乗を続け、ハイブリッドのFRに乗り、復習で再度V6ツインターボのF SPORTを走らせたが、やはりこのF SPORTはいい。全般的にどんどん印象はよくなっていったというのが正直なところだ。この試乗会ではハイスピードで走る機会はほとんどなかったが、このクルマはおそらくアウドバーンや中高速コーナーが続くワインディングでは、いっそう光り輝くのではないかと思う。

今回はアメリカ仕様のプロトタイプということであり、充実した予防安全パッケージ「Lexus Safety System+A」についても体感することはできなかった。そのあたりを含め、生産型の日本仕様に乗ることができるタイミングで、また詳しくニューレクサスLSを紹介したい。なお、日本における発表は10月下旬だそうだ。

最後になるが、全体的によくここまで作り込んできたと感心する。長年、レクサスの動向を見てきた者として非常にうれしいというのが率直な気持ちだ。この先はさらなる高見を目指し、ジャーマンスリーを超えてもらいたいと思う。(文:荒川雅之/写真:Lexus International)

レクサスLS500 主要諸元( )内はAWD

全長×全幅×全高:5235×1900×1,450(1460)mm
ホイールベース:3125mm
車両重量:2155-2225(2240-2310)mm
エンジン:3.5L V6DOHCツインターボ
最高出力:421ps/6000rpm
最大トルク:600Nm/1600-4800rpm
トランスミッション:10速AT
ブレーキ前/後:Vディスク
サスペンション前:ハイマウントマルチリンク
サスペンション後:マルチリンク

レクサスLS500h 主要諸元( )内はAWD

全長×全幅×全高:5235×1900×1,450(1460)mm
ホイールベース:3125mm
車両重量:2215-2280(2300-2370)mm
エンジン:3.5L V6DOHC
最高出力:299ps/6000rpm
最大トルク:348Nm/5100rpm
モーター:交流同期電動機
最高出力:179ps
最大トルク:300Nm
システム最高出力:359ps
トランスミッション:マルチステージハイブリッド
ブレーキ前/後:Vディスク
サスペンション前:ハイマウントマルチリンク
サスペンション後:マルチリンク

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