ナタリー・ポートマンが『ブラック・スワン』以来の「女の野心」を熱演し注目されている『プラネタリウム』。リリー・ローズ・デップと姉妹役となり、夢の競演で魅せることも話題の的です。スター女優たちを魅了する監督、レベッカ・ズロトヴスキの才能と、この新作をご紹介します。

髙野てるみ(たかのてるみ)
髙野てるみ 映画プロデューサー、エデイトリアル・プロデューサー、シネマ・エッセイスト、株式会社ティー・ピー・オー、株式会社巴里映画代表取締役。著書に『ココ・シャネル女を磨く言葉』ほか多数。
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美貌の才媛、ズロトヴスキ監督が注目した、実在の女性降霊術師

『プラネタリウム』という映画タイトルだけでも意味深長ですが、危うくて、怪しげで、人々を惑わせ熱狂させた、スピリチュアリスト姉妹の物語。

天体の綺羅星を映し出すのではなく、死んでしまった人の霊を呼び出し、人々の目の前で甦らせる……、30年代に有閑層を熱狂させた降霊術が題材です。

監督のレベッカ・ズロトヴスキは、06年から脚本家をめざし、5本の短編映画の脚本を手がけた後、10年に長編処女作『美しき棘』で映画監督デビュー。フランスで注目されていた女優、レア・セドゥを主演に据え、母を亡くした思春期の少女を演じさせ、第36回セザール賞有望若手女優賞ノミネートという栄誉をもたらした凄腕。

セドゥ自身と主人公の少女の気持ちが被さるような、ピュアだからこそ戸惑い揺れる少女の心境を、言葉少なく美意識溢れる映像で印象づけました。

筆者も、日本公開で来日した折に監督にインタビュー、その聡明さや美貌に心動かされ、新鮮なフランスの女性監督がまた一人誕生したことを見届けた思いは、未だ忘れ得ない記憶です。

この作品は、第63回カンヌ国際映画祭の監督週間部門で上映され、同年のルイ・デリュック賞で新人作品賞を受賞。次いで13年には『グランド・セントラル』で再びセドゥを起用、第66回カンヌ国際映画祭のある視点部門に出品。14年、第67回カンヌ国際映画祭の批評家週間部門の審査員長も務めました。

その才能に期待が集まった第3弾が、本作『プラネタリウム』です。

天才監督のアート的世界で演じるスター女優、夢の競演

「秘めたる超能力」で人々を魅了する美人姉妹に、アカデミー賞受賞の女優として名高いナタリー・ポートマンと、ジョニー・デップとヴァネッサ・パラディの間に生まれた今旬な、リリー・ローズ・デップを起用、渾身の異色エンタテインメント作品の傑作を生み出しました。

3作目にして「天才」という呼び名もふさわしい、「大物」となったズロトヴスキ監督。華々しく、ヴェネツィア国際映画祭ワールドプレミアおよびトロント国際映画祭ガラ・コレクションで上映され話題をさらいました。

実在したスピリチュアリズムの先駆者、フォックス三姉妹と、フランスの伝説の映画プロデューサー、ベルナール・ナタンという人物に惹かれたという監督の独創的世界が展開。ポートマン演じる姉は、デップ演じる霊媒師の妹を舞台に立たせ、たびたび降霊術ショーを取り仕切っています。二人の美貌も魅力の一つであり、そこに目をつけた映画プロデューサーは、彼女たちが呼び寄せた霊を映画にすることを持ちかけます。財産を投げ打ってでも、その夢を実現しようとする彼の野望はエスカレート。妹は霊媒師としての研究材料にされていき、姉はその映画の主演女優としてデビューを夢見るようになり、二人の姉妹の間には思惑が渦巻き、関係に亀裂が生れていきます。「見えないものを魅せる」ことに憑りつかれ、美しくも壊れていく人生を歩き出した姉妹。心理ミステリーとしても楽しめる作品に仕上がっています。

ポートマンに対しては、多方面から『ブラック・スワン』を凌ぐ、「野心を抱く女性」を演じることへの期待と注目が集まりました。

文学的美意識を映像に活かす、独自の世界観

フランスに移住した彼女は、ズロトヴスキ監督とは親しく交流、『美しい棘』制作の頃、援助金がおりた知らせを伝える電話での朗報を、監督の傍らで聞いていたというほどの仲。一緒に映画を作りたい、自分たちが100パーセント輝けるような作品でと、その機を待ち望んでいた二人なのだから、その想いが形になったとも言える本作が、「宝物」のような輝きを生み出すのは必然でしょう。加えて、ポートマンがデップを推薦し、妹役は彼女なくしては成立しないというほどの演技力が引き出され、作品に磨きがかかります。

ハリウッド映画とは別物の、女性としての野心や欲望を剥き出しにする人間性を見据えて演じたいと願ったポートマンとデップ、彼女らが持つ新たな魅力を抽出させ、演じさせた監督。この夢のようなコラボレーションが結実した、不思議で曖昧で、ミステリアスな世界が『プラネタリウム』の持つ魅力です。

本作で、ある意味メジャーデビューした監督ですが、初監督した頃の言葉が思い出されます。
「私は本を読むことが大好きで、映画づくりは文学を作ることと同じだと考えています。詩を作ることにも似ていると。映画を作る時には、どんな場合でも、そのクリエイティビィティな感覚を忘れたくないんです」

今回もその美意識が、全編に活かされていることを痛いほど感じます。

そして、その世界観の中で演じてみたいと思うスター女優たちもまた、スターであることに甘んじることなく、アーティストへの道をめざしたいと強く願ってズロトヴスキ監督の「共犯者」となったのだ、とも。

映画に生きる女性たちの熱い意気込みが感じられる、手ごたえのある作品が『プラネタリウム』なのです。

『プラネタリウム』9月23日より、新宿バルト9、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開中、その後、順次公開予定。
監督/レベッカ・ズロトヴスキ
出演/ナタリー・ポートマン、リリー・ローズ・デップ、エマニュエル・サランジェ、ルイ・ガレルほか。
提供/ファントム・フィルム、クロック・ワークス
配給・宣伝/ファントム・フィルム
2016年/フランス・ベルギー/108分/カラー
© Les Films Velvet - Les Films du Fleuve - France 3 Cinema - Kinology - Proximus – RTBF

画像: 『プラネタリウム』美人姉妹の虜にされるミステリアスな予告編 youtu.be

『プラネタリウム』美人姉妹の虜にされるミステリアスな予告編

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