WBA、WBC、IBF3団体統一世界ミドル級チャンピオンのゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)に、元WBA、WBC、WBO世界スーパー・ウェルター級及び元WBC世界ミドル級チャンピオンのサウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)が挑んだ。
最高の名勝負となった本試合の結果は・・。
(現地時間 2017年9月17日 T-Mobile Arena, Las Vegas, USA:)
画像: www.worldboxingnews.net
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メイウェザーが去ったボクシング界を牽引する二人の激突

イニシャルをとってGGGという異名を持つゲンナディ・ゴロフキンは、1982年4月8日の35歳。これまでの戦績は、37戦全勝(33KO)。身長は179cm。
対するアルバレスは(髪の色がシナモンのような赤毛であることからカネロというあだ名をつけられた)1990年7月18日生まれの27歳。戦績は、51戦49勝(34KO)1敗1分で、唯一の敗北はかのメイウェザーとの判定負けによるもの。身長175cmだがリーチは180cm近くあり、ゴロフキンとほぼ同じだから、距離の取り合いでは引けを取らない。

パウンドフォーパウンド(選手の体重を同一と考えて強さを計る仮想ランキング)でここ数年最強とされてきたロマゴンことローマン・ゴンザレスが同じ相手に二連敗(しかも直近はKO負け)したことで、ゴロフキンとカネロの戦いの重要度はさらに高まったと言える。

現在のパウンドフォーパウンド(P4P)ランキングでは、ゴロフキンが2位、カネロ・アルバレスが5位につけている。この戦いの結果によってさらにランキングは大きく動くことになるだろう。
(ちなみに今日時点でのトップはライトヘビー級チャンピオンであり”神の子”の異名をもつアンドレ・ウォード)

画像: www.wowow.co.jp
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最強王者”GGG”ことゲンナディ・ゴロフキン

ゲンナディ・ゲンナジービッチ・ゴロフキン、の頭文字をとったGGG(トリプルジー)のニックネームで知られるゴロフキン。均整のとれた、ナチュラルボーンのミドル級の体格を持ち、しなやかな印象。当て勘の良さと柔らかな体を利した効率の良い攻撃を誇るうえ、拳が硬いことでも有名。防御をしていても当たると石で叩かれたような痛みと衝撃を相手に与えるという。

柔和な表情が試合中は鬼と化し、容赦無く相手を叩きのめす様は、まさに鬼神の強さである。多少打たれても(体の柔らかさのゆえか、それほどダメージを受けることがない)相手を倒しにいくボクシングスタイルで、米国進出して以来人気はうなぎのぼりだ。
数年前までは強すぎるがゆえにマッチメイクに苦労して、なかなかスーパーファイトを実現できずにきたが、今回こそはまさしく稼ぎどき、と言えるだろう。

アルバレスを相手にしても、彼の勝利を信じるものは多い。
ただ、加齢による衰えなのか、最近は強さに若干陰りが出ているように見えるため、オッズも圧倒的にGGG、というわけではないようだ。

メキシコの若き英雄カネロ・アルバレス

ボクシング界の次世代スーパースターとして世界中から熱い視線を集める男、それがサウル・カネロ・アルバレスだ。

身長こそそれほど高くはないが、筋骨たくましい恵まれた体格と、多彩なパンチを繰り出すテクニックを擁して、常に真っ向勝負をするケレン味のないファイトスタイルで人気を集める。さらに、マット・デイモン似の容姿が女性票も獲得している要因だろう。ディフェンスが良いせいもあって、あまり顔を打たれないので試合後でも綺麗な顔をしているのも良い。

(ちなみにPPVのポスターの写真は、マット・デイモンより、現在バットマンを演じているベン・アフレックに似ているかも?)

唯一の敗戦は、フロイド・メイウェザー Jr.に挑戦して、彼の老練なテクニックにパワーを封じられてしまったものだが、その教訓からカネロもさらにボクシングスキルや巧みな戦略に磨きをかけてきた。さらにいえばゴロフキンはメイウェザーのようなアウトボクサーではなく、カネロとは間違いなく噛み合う。具体的に言えば戦う距離やスタイルが近いので、カネロ・アルバレスが負けるとすれば、それは単純に地力の差ということになるし、対メイウェザーと比べれば勝機はあると言えるだろう。

二人の対戦は2016年中に実現すると思われていたが、結局2017年の今日まで持ち越された。ゴロフキンとしてはすぐにでも戦いたかったのだろうが、アルバレス陣営がミドル級の体づくりにもう1年必要だと考えたのだろう。あるいは、ゴロフキンの年齢を考えて、遅らせれば遅らせるほど勝機が訪れると考えたのかもしれない。とにもかくにも、二人の対決は本日実現した。

試合展開〜結果はドロー:GGGは勝負に勝って試合は・・・・でも大金を得た。

第1ラウンドから強い緊迫感。ゴロフキンのジャブに対してガードを固めつつも左右のボディフックを軸に攻め込むカネロ。

ゴロフキンが様子見で少し引くと、それを機とばかりにカネロが攻め込むので、ゴロフキンもプレッシャーをかけ返さざるを得ない。互いに積極的に手を出す、好戦的なポジションで向かい合う。手を出せば当たる、かなり近い距離での交戦に、超満員の会場(カネロファンが圧倒多数だが)が大いに湧く展開。

第4ラウンドになって、ゴロフキンは前傾姿勢で徹底的な攻勢を取るようになる。アルバレスのタフさとテクニックを警戒し、早めに勝負をかけていくことを決意したようだ。迎え撃つカネロだが、ゴロフキンの圧力に徐々に後退を余儀なくされる。

巧みに防御しているように見えていたアルバレスだが、案外パンチが効いてきている様子。ゴロフキンの拳は硬く、軽く当たるだけでガツン、という衝撃があるというが、あまり当たっていないようでもかすめるだけでもハンマーで小突かれるような威力があるのだろう。しなやかで柔軟な身体で自分へのパンチの威力は殺し、それと裏腹に硬い剛拳が相手に深いダメージを与えていく、それがゴロフキンだ。

それでも頑健な肉体と卓越した技量を持つカネロも、GGGの圧力を跳ね返そうと必死に抗う。身長こそゴロフキンより低いが、雄大な体格では勝るとも劣らない。体力では分がある。
しかし、結果的にはロープに詰められるシーンが増えていく。会場のカネロファンの声援に悲鳴が混じり始める・・。
打たれたら、即その倍の数か力で打ち返す。ゴロフキンは勝負どころとボクシングのルールを知り尽くして、巧みな試合運びをしているのだ。(村田涼太は、ゴロフキンのここを真似るべきだ)

試合はあっという間に10ラウンドへと進む。劣勢を意識したアルバレスは懸命にパンチを振るい、一時はゴロフキンを後退させることに成功し、少なからずダメージを与えるが、自身も相当にスタミナを消費してしまう。

そしてKO必至と思われた二人の対決は最終ラウンドへ。

カネロは最後の力を振り絞って逆転KOを狙う。そのパワーとハンドスピードは凄まじいが、ゴロフキンも怯まない。決して下がることなく、コーナーに詰めていく。判定であれば勝ちは動かない展開だから、メイウェザーならリスクを取らずに流していくところだが、ゴロフキンはむしろ倒しにかかる。
この姿勢が、彼の頭文字をとっているはずのGGGにGreat(偉大な)という意味を持たせるのだ。

結果として、いつまでも見ていたいと思わせた名勝負は判定へ。

結果はなんとドロー。
正直言ってゴロフキンの完勝と思われたが・・・・

これで38戦37勝(33KO)1分。カネロ・アルバレスは52戦49勝(34KO)1敗2分。

納得はいかないが、二人の商品価値を落とさずに、今後もビッグマッチを作っていくというコマーシャルな意味合いとすればこれはこれでいいのだろう。誰も傷つかずに終えたのだから・・・。

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