2017年5月17日から世界の映画人が注目するカンヌ国際映画祭が開幕。今年は70周年の記念すべきアニバーサリー・イヤーとあって、注目度も増している。長編コンペ部門審査員長はペドロ・アルモドヴァル監督。審査員にはウィル・スミスら。日本からは河瀬直美監督の「光」がエントリーされ、最高賞パルムドールを狙う。そんな現地に向かった映画ライターの岡田光由氏がカンヌの熱い息吹をリアル・レポートでお届けする。

画像: カンヌ映画祭会場の外観 (岡田光由)

カンヌ映画祭会場の外観 (岡田光由)

史上最も若い大統領の誕生で沸くフランスで、世界で最も権威の高いカンヌ国際映画祭が、5月17日から始まった。今回は70回の節目となる開催とあって特別となるさまざまなイベントがあるかと思いきや、意外と少ない。これまでのカンヌの歴史に焦点を当てたクラシック部門での名作上映が目立ったところか。これにはミケランジェロ・アントニオーニ監督の「欲望」をはじめ、ルイス・ブニュエル監督の「昼顔」、ボブ・フォシー監督の「オール・ザット・ジャズ」、アンリー・ジョルジュ・クルーゾー監督の「恐怖の報酬」、アンジェイ・ワイダ監督の「鉄の男」などの欧米の作品に加えて、今村昌平監督の「楢山節考」と大島渚監督の「愛のコリーダ」も選ばれた。
映画祭は28日までの会期中、メーンのコンペティション部門では昨年より2本少ない19本が最高賞パルムドールを争う。そのエントリー作品には、カンヌの申し子といわれる河瀨直美監督の「光」が選ばれ、今度こそパルムドールを狙うが、ライバルが多い。中でも名匠ミヒャエル・ハネケが欧州の難民問題を扱った「ハッピーエンド」で、主演の盟友イザベル・ユペールと共に3度目のパルムドール受賞を目指す。こういった時代や世相に向き合った作品はカンヌで好まれていて、ひょっとして実現するかも。昨年に比べてベテラン常連監督作が少ないが、その代わり若手&中堅といっていい常連監督作が目立つ。ミシェル・アザナヴィシウス、ヨーゴス・ランティモス、ソフィア・コッポラ、フランソワ・オゾン、ファティ・アキン、それに河瀬監督もここに入れていいだろう。

画像: アルノー・デプレシャン監督、マリオン・コティヤールらの会見 (岡田光由)

アルノー・デプレシャン監督、マリオン・コティヤールらの会見 (岡田光由)

また今年は韓国勢の活躍が目立つ。コンペ部門にポン・ジュノとホン・サンスの両監督に、審査員としてパク・チャヌク監督が参加。審査員長はペドロ・アルモドバルで、開催初日の審査員団の記者会見で、ネットフリックス問題が再燃した。動画配信サービスの大手ネットフリックス製作作品の「オクジャ」(ポン・ジュノ監督)と「ザ・メイヤーオイツ・ストーリーズ」(ノア・バームバック監督)が初めてエントリーされ、フランスの映画興行界が反発し、映画祭側は来年からネットフリックス作品を除外する決定をしたばかり。それについて意見を求められ、アルモドバルは映画祭側を支持、それに対して審査員の一人ウィル・スミスは自身が絡む作品もあって反対と、真っ向から対立したのだ。これが審査行程で響かなければいいがと会見場にいた世界の記者たちは心配した。
ともあれ、モニカ・ベルッチの司会でオープニングセレモニーが開かれ、審査員たちの紹介などが終わった後、今年の上映作品に選ばれたのはアルノー・デプレシャン監督の新作「イスマエルの幽霊」。映画作家の前に数年ぶりに現れた妻の話で、マチュー・アマルリックにマリオン・コティヤールとシャルロット・ゲンスブールの共演。デプレシャンが自由奔放に描いた作品だが、観客にとってはちょっと混乱気味。マリオンの美しいオールヌードだけが印象に残った。(岡田光由)

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