タトゥーの入ったイカつい肉体を、革ジャンや革ベストで包んだワイルドな男たち。凄まじい轟音と振動を響かせて駆け巡るのは、カスタムされたハーレー。交渉は言葉より拳と銃弾。
やることは無法者のそれだが、仲間(ファミリー)を守るためならどんなことでもする固い絆と、圧倒的な暴力とクソ度胸。
少なくともハリウッドが描いてきた”典型的な”ハーレー乗り達が、とにかく集結した作品。そのシーズン1のVol.1と 2を見始めたー。

架空の街を支配するSAMCRO達と、彼らを狙う敵対勢力の抗争劇

舞台は架空の街、カリフォルニア州チャーミング。表向きは二輪や四輪の整備工場を営むバイククラブ「SAMCRO(Sons of Anarchy Motorcycle Club Redwood Original、サンズ・オブ・アナーキー・モーターサイクルクラブ レッドウッドオリジナル)」だが、実際には違法な武器売買によって荒稼ぎをしている。バイクに乗ったギャングスタ達だ。
ちなみに、レッドウッドとはチャーミングの旧名という設定である。

SAMCROは、総長のクレイと副総長のジャックスを中心としており、二人は義父と息子という関係だ。正確にいうとジャックスの実の父親は既に死亡しており、彼の母親とクレイが結婚したことによって、彼らの関係が成立している。

SAMCROは警察や保安官らを買収し、敵対する組織は暴力で押さえ込むことでチャーミングの秩序を安定させており、街の住民の多くは彼らを恐れつつも英雄視もしている。古い例えで言えば、清水次郎長や国定忠治などの義侠心に富んだ親分衆に対する感情に近いだろうが、もちろん彼らは悪党には違いないわけで、SAMCROを忌み嫌う人々も存在する。

物語は、彼らの秘密の武器庫が襲撃されるところから始まる。彼らの威光も完璧ではなく、敵対するギャング組織がSAMCROに牙を剥き始めたのだ。さらに、SAMCROを街の汚点と考える一部の警官達が、SAMCROを一掃しようと動き始め、チャーミングは過激な抗争の場になっていく・・・。

いますぐディーラーに駆け込んでハーレーを買いたくなる。いますぐカスタムビルダーに行っていじり倒したくなるぞ。

本作の登場人物のほとんどは悪人か、それに準じた経歴や背景を持つ。
主人公のジャックスを始め、SAMCROのメンバーも金や保身のためなら殺人も厭わない、悪党だ。かろうじて仲間やファミリーを大事にする、という点だけは人間的だが、基本的には”反社会的”な人間達ばかりの、ドラマである。

ある意味、昔の日活映画や東映のヤクザ映画に通じるアンチヒーローストーリーでありアウトロームービー。徹底してワルを描いた物語だから、善悪や社会正義をベースに観てはいけない。

筋骨逞しい男達が、チョッパーというよりはドラッグスタイルやボバーに近いカスタムを施した黒いハーレーダビッドソンを駆って疾走する。激しい暴力、そして緻密な戦略と欺瞞を駆使して立ちふさがる邪魔者を排除しようとするハードボイルドな男達の姿を、ひたすら楽しむ。それが本作の正しい鑑賞の姿であろうと思う。

少なくとも、いますぐハーレーを買いたくなる、乗りたくなることだけは間違いがないが、それはかつて任侠映画を観た男が肩で風を切って歩いたり、カンフー映画を観た男が自作のヌンチャクを練習したのと同じ、男だけが分かる、厨二病めいた熱狂であり、一過性の伝染病なのである。

画像: 「サンズ・オブ・アナーキー シーズン1 & シーズン2」Trailer・観る前におさえたい3つのポイント youtu.be

「サンズ・オブ・アナーキー シーズン1 & シーズン2」Trailer・観る前におさえたい3つのポイント

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