アジア人として5階級制覇を成し遂げたのは、マニー・パッキャオと このノニト・ドネア以外にはいない。パッキャオと並ぶ生きる伝説であり、フィリピンを代表するスーパースターのドネアが、23戦無敗(17KO)の若き挑戦者を迎え撃った一戦。

前傾姿勢で素早い強打を放つ若武者ジェシー・マグダレノは24歳。ドネアは33歳のベテラン。
鍛え上げ、キレのいい筋肉の鎧をまとうマグダレノに対して、ドネアは銭湯で出会ってもとてもプロボクサーとは思えない、緩い肉体で、計量の時などガラパン履いたオヤジにしか見えなかったくらいだ。
しかし、その緩いカラダから放たれるパンチ、特に左フックは”閃光”と称されるほど衝撃的な威力を持っているのだ。

画像: 5階級制覇 ・WBO世界S・バンタム級王者 ノニト・ドネア (フィリピン)

5階級制覇 ・WBO世界S・バンタム級王者
ノニト・ドネア
(フィリピン)

画像: WBO世界S・バンタム級1位。 挑戦者ジェシー・マグダレノ (アメリカ)

WBO世界S・バンタム級1位。
挑戦者ジェシー・マグダレノ
(アメリカ)

前半はドネアが老練なテクニックを駆使してペースを握る。
しかし、マグダレノもまた持ち前のスピードと、右フックを軸としたパワフルな攻撃で対抗し、そう簡単にはドネアを安心させない。中盤以降はドネアがマグダレノの連打を持て余し、ポイントを失うラウンドが増える。

格下のマグダレノをきっちり倒したいドネアだが、マグダレノは若さゆえの体力でしぶとく動き回り、使えることができない。焦るドネアに対してマグダレノはさらにギアをあげ、激しく抵抗する。

時折ドネアの鋭い、ノーモーションの右ストレートがマグダレノを後退させるものの、若者の気合は減じることなく、強い右フックでカウンターで攻め返してくる。

結局スピードとパワーがベテランの意地と技を抑え込み、勝利は マグダレノに。
一つの時代が終わった瞬間だった。

マグダレノは初の王者となり、今後の軽量級のスター候補に名乗りを上げた。

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