英国が誇る2輪メディアMCNが先月末報じたニュース・・・Honda CBR600RR is no more(ホンダCBR600RRはこの先もう出ることありません)は、世界中で大きな話題になりました。今後、600ccクラスのスーパースポーツは失われたカテゴリーになっていくのでしょうか? 3回に分けて、600ccスーパースポーツの将来について考えてみました。

昨年の英国での販売台数は150台!

MCNの今回の報道は独自の情報網の、日本の信用できる筋からの情報を元にしているとのことです。なんでもホンダCBR600RRはEU圏のユーロ4規制(騒音と排ガスなど)に適応できないので、2017年の1月1日から英国と欧州の市場では販売できなくなるそうです。猶予期間の「特例」で限られた数が、その後も英国・欧州で販売されるともMCNは伝えていますが、それが終われば約30年間多くのユーザーに親しまれたCBR600RRは廃盤になる・・・と報じています。

画像: 2016年型ホンダCBR600RR。そもそも600ccのCBRシリーズは、1987年のCBR600Fからスタート。2003年から、CBR600RRに発展しました。

2016年型ホンダCBR600RR。そもそも600ccのCBRシリーズは、1987年のCBR600Fからスタート。2003年から、CBR600RRに発展しました。

もちろん、MCNもこれはホンダの公式発表ではないことを認めています。また、大きな市場のひとつであるアメリカや、そのほかユーロ4規制が及ばない地域では、CBR600RRは販売される見込みであり、2017年で即廃盤ということではないです。ただMCNは彼らの情報源の信頼性の高さから、英国・欧州市場の代替品は、これから用意されないと報じています。

CBR600RRの来年以降についての真相は、ホンダからの公式発表を待ちたいです。ただ、来年以降英国と欧州でCBR600RRを売り続けることが難しいかもしれない・・・そんな状況にあることを思い知らされるデータはあります。その最たるものは販売成績でしょう。MCNの報道によると、2015年に英国で売れたCBR600RRの台数はわずか150台! しかもその多くは、ロン・ハスラム・レース・スクールの教習車として納入されたそうです・・・。

世界的に、ラインアップの見直しが波及する?

CBR600RRの英国での売り上げは、近年大きく落ちています。そして600ccスーパースポーツの開発費は、上位カテゴリーの1000ccスーパースポーツの開発費と比べ、べらぼうに差がつくわけではありません。どちらも高額な開発費がかかりますが、600ccスーパースポーツは1000ccスーパースポーツよりも、市場戦略的理由から数千ドル安い価格で販売しなければならないので、利益率がどうしても低くなってしまいます。

もし実際に英国・欧州市場でCBR600RRが廃盤になると、ユーロ4が関係ない国向けのCBR600RRも、将来新型が開発されることなくいずれ廃盤になる可能性が高いです。ただでさえ開発コストの問題がシビアな600ccスーパースポーツですが、英国・欧州という市場を失った後は、より多くの数を作ったほうがコストを下げられるという、量産によるコストダウン効果を得ることが難しくなるからです。

1980年代半ばから今日まで、約30年間海外市場の人気機種として存在し続けた600ccスーパースポーツですが、トップメーカーのホンダがこのジャンルから去るとなると、その影響は決して少なくはないでしょう・・・。 [続く]

画像: ホンダなどで活躍したロードレーサー、ロン・ハスラムが運営する「ロン・ハスラム・レース・スクール」の教習車。今後600ccスーパースポーツは公道用ではなく、ロードレース用の競技専用車と化していくことになるのでしょうか・・・? www.haslamraceschool.com

ホンダなどで活躍したロードレーサー、ロン・ハスラムが運営する「ロン・ハスラム・レース・スクール」の教習車。今後600ccスーパースポーツは公道用ではなく、ロードレース用の競技専用車と化していくことになるのでしょうか・・・?

www.haslamraceschool.com
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