RZ250Rの最終型が88年に登場し、その後静かに幕を下ろした後、90年に登場したのがこのR1-Z、通称『ワンジー』です。

画像: ©モーターマガジン社

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時代はすでにゼファーが登場した後であり、極端に先鋭化したレプリカブームは落ち着きを見せはじめていました。
その中でRZRの流れでもなく、TZRの流れでもない、新しくスタイリッシュなマシンを2ストロークで投入したところが、さすが「2ストロークのヤマハ」!

位置付け的にはRZRの後継といったところですが、エンジンはRZ系のピストンリードバルブではなく、パラレルTZR系のケースリードバルブで、1KTの流れを汲むもの。
しかしセッティングは街中での扱いやすさを重視したもので、キャブの後継は絞られ点火系の変更もなされています。

エンジンはパラレルツインTRZのものがベース。キャブはΦ26のものへと小径化され、扱いやすさを追求した。/©モーターマガジン社

フレームはSDR200ですでにチャレンジしていたトラス形状のスチールとなっており、視覚的なアピールもできますが、ヤマハではのちにTRX850でもこのトラス形状を採用していることから、技術的な優位性も見出しての採用だったのでしょう。

トラスフレームと白いカラーリングで、スポーツのイメージが強い2ストロークにスタイリッシュさを演出。/©モーターマガジン社

92年の馬力自主規制が導入されるまではR1-Zも45馬力を発揮し、RZRですでに採用されていた前後17インチホイールとあいまって現在でも高い運動性能を見せるマシンとなっています。
しかし最初期型は改善の余地があったようで、のちにフレームの補強やラジアルタイヤの装着、サスペンションの変更などと改良・仕様変更が施されました。
99年まで生産が続けられることとなりますが、さらに93年モデル以降は出力が40馬力に抑えられ、よりマイルドな特性となります。

クロスした形状の後、右側にまとめられたカーボン巻きサイレンサーを持つチャンバーも目新しかった装備。/©モーターマガジン社

そして、興味深いのは、発売当時のTZRが採用していたV型エンジンを使わずに、RZから続くパラツインを採用した点。
RZの登場からすでに10年が経っていましたが、あの「ボロンボロン」という排気音のパラツインに思い入れが深かった人は多かったことでしょう。
RZスピリッツの末裔として有終の美を飾ったR1-Zは、パラツインの幕引きにふさわしいマシンだったのではないでしょうか。

エンジン形式:水冷2ストロークケースリードバルブ 2気筒
総排気量:249cc
最高出力:45PS/9500rpm
最大トルク:3.7kg-m/8000rpm
乾燥重量:133kg
タンク容量:16L
シート高:775mm
タイヤサイズ前・後:110/70-17・140/70-17

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