メルセデスのSUVを示す「GL」と車格を表す「C」を組み合わせ、新たに「GLC」というネーミングで登場した。GLKの後継モデルはCクラスと共通項が多くさらに最新のメルセデス流安全デバイスが搭載されている。(Motor Magazine 2016年5月号)
画像: GLC250 4マティック スポーツ(本革仕様):全長4670mm×全幅1890mm×全高1645mm、ホイールベース2875mm、車両重量1860mm、最小回転半径5.7m、ラゲッジルーム容量550〜1600リットル、エンジン 直列4気筒ターボ、エンジン型式 274、ボア×ストローク83.0×92.0mm、圧縮比9.8、最高出力155kW(211ps)/5500rpm、最大トルク350Nm(35.7kgm)/1200-4000rpm、JC08モード燃費 13.4km/リッター、トランスミッション 9速AT、タイヤサイズ235/55R19、車両価格745.0万円

GLC250 4マティック スポーツ(本革仕様):全長4670mm×全幅1890mm×全高1645mm、ホイールベース2875mm、車両重量1860mm、最小回転半径5.7m、ラゲッジルーム容量550〜1600リットル、エンジン 直列4気筒ターボ、エンジン型式 274、ボア×ストローク83.0×92.0mm、圧縮比9.8、最高出力155kW(211ps)/5500rpm、最大トルク350Nm(35.7kgm)/1200-4000rpm、JC08モード燃費 13.4km/リッター、トランスミッション 9速AT、タイヤサイズ235/55R19、車両価格745.0万円

画像: 世界的に人気のあるSUVカテゴリー。そこにメルセデスベンツが本気の1台を投入した。

世界的に人気のあるSUVカテゴリー。そこにメルセデスベンツが本気の1台を投入した。

先代GLKは高いオフロード性能を持っていた

2008年にGクラス、ML、GLに続くメルセデス4番目のSUVとしてデビューしたGLKは、3.5ℓV6エンジン+4マティックがもたらす力強い走りと高いオフロード性能など万能な魅力を備えていた。ただこのGLK、左ハンドル仕様のみしか日本へ導入されなかったことやラインナップが価格600万円超の1モデルしかなかったこともありメルセデスのSUVとしては、いまひとつ販売が伸び悩んでいた。

そんなGLKが第二世代にフルモデルチェンジした。この新しいSUVには、メルセデスの新ネーミング方式に則り、SUVを表すGLとクラスを表すCが組み合わされた「GLC」という名前が与えられている。最初はこの耳慣れないモデル名に戸惑いさえ覚えていたが、ここ半年ぐらいでそれもすっかり慣れた。要はSUVにもCとEとSがあるということである(Gクラスのみ別格!)。

ちなみにGLCは、先代GLKのボディサイズより全長が110mm長く、全幅が50mm広く、全高が25mm低くなった。またCd値は0.31と優秀で、この効果で風切り音の低減と燃費の向上に貢献しているという。

画像: 最新のメルセデルの法則に則ったインパネ。運転席からの視界がSUVであることを意識させてくれる。ボトム部がフラットになる本革巻きステアリングホイールは“Sports”に装備される。

最新のメルセデルの法則に則ったインパネ。運転席からの視界がSUVであることを意識させてくれる。ボトム部がフラットになる本革巻きステアリングホイールは“Sports”に装備される。

Cクラスとの繫がりを強く意識させる新SUV

搭載された安全技術も特筆ポイントである。全モデルに標準装備されるレーダーセーフティパッケージをはじめとする最新の安全運転支援システムは、カメラとミリ波レーダーにより車両の周囲360度をカバーする万全の安全性を確保している。

画像: ラゲッジルーム容量は標準時550リットル(VDA値)で9型のゴルフバックが3個積める。また最大で1600リットルにまで拡大できる。

ラゲッジルーム容量は標準時550リットル(VDA値)で9型のゴルフバックが3個積める。また最大で1600リットルにまで拡大できる。

ラゲッジルームは、GLKよりも100リットル拡大した550リットル(VDA値)を確保する。これはCクラスステーションワゴンより60リットル大きく、さらに3分割可倒式の後席を倒せば最大1600リットルにまで拡大することができる。自動開閉テールゲートも標準装備されるのでとても便利だ。

フットワークは軽快。乗り心地も快適

試乗したのは、GLC250 4マティック スポーツの本革仕様。パノラミックスライディングルーフやブルメスターサラウンドサウンドシステムなどが標準で装備された豪華版で価格は745万円。オプションはボディカラーのイリジウムシルバー(8万8000円)と、アクセサリーのランニングボード(12万円)が装備され、それらを含んだ合計金額は765万8000円である。

画像: ポジションを記憶できるメモリー式パワーシート採用。本革仕様にはブルメスターサラウンドシステムも装備。

ポジションを記憶できるメモリー式パワーシート採用。本革仕様にはブルメスターサラウンドシステムも装備。

運転席に乗り込むとそこから見えるインテリアはメルセデス流の高級感が演出されていた。そして視界は少し高くSUVらしいものである。さて、エンジンに火を入れ走り出そう。少し右足に力を入れるだけで、すっと動き出す。そこに荒々しさはいっさい感じられずスムーズな走り出しである。

そしてそのまま速度を乗せていくとエンジン音の高鳴りとともに軽快なフットワークを見せる。わずか 1200 rpmで発生する最大トルクの威力は低回転域を多用する市街地で大いに感じられた。

画像: ベースグレードは前席のみ、“Sports”は前席&後席にシートヒーターが標準装備される。写真は本革仕様。

ベースグレードは前席のみ、“Sports”は前席&後席にシートヒーターが標準装備される。写真は本革仕様。

4フロント4リンク、リアマルチリンクというCクラスと同様のサスペンションを完璧に使いこなしているあたりもさすがだ。途中、道路工事などで舗装の荒れた路面や段差があったがそれを少ない衝撃で乗り越え、その衝撃さえもすぐに収束するしなやかな乗り心地である。走行性能に不満を感じることは最後までなかった。ただし最小回転半径は5.7mなのでCクラスから乗り換えると、意外と小回りが効かないと思う人はいるかもしれない。ちなみに4マティックはエンジントルクを前33%、後67%の基本比率で配分する。

ディーゼルエンジン搭載車が欲しい

価格はベーシックなGLC250で628万円。先代GLK350の611万円より少し高くなったが右ハンドル仕様、安全運転支援システムや装備内容の充実などを見ると満足できるものである。このGLCは、多くの人に注目され確実に販売台数を伸ばすはずだ。CクラスのSUVというイメージ戦略も成功だろう。

画像: 搭載エンジンはCクラスにも積まれる274型2リッター直4ターボの1機種のみ。トランスミッションには9速ATが組み合わされる

搭載エンジンはCクラスにも積まれる274型2リッター直4ターボの1機種のみ。トランスミッションには9速ATが組み合わされる

ただラインナップはもう少し増やしてほしい。動力性能に不満はないと書いたが、それでも 2リッター直4ターボエンジンしか選べないのは残念。とくにC220dの素晴らしさを知ってしまった今、それに積まれる2.2リッターディーゼルターボはぜひ導入してほしい。これに9Gロトニックや4マティックが組み合わされれば、かなり魅力的だと思うのだがいかがだろうか。本国ではGLCに220d や250dの4マティックもラインナップしている。それらの日本導入を大いに期待したい。(文:千葉知充/写真:永元秀和)

画像: クルマのまわり360°をカバーする複合的なセンサーシステムを搭載する。

クルマのまわり360°をカバーする複合的なセンサーシステムを搭載する。

画像: 純正アクセサリー装着車。アウトドアが似合う、積極的に出掛けたくなる1台だ。

純正アクセサリー装着車。アウトドアが似合う、積極的に出掛けたくなる1台だ。

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