1983年のアムステルダム。
経営していた会社が倒産し、行き詰まった現実を打開するため、5人の男たちは、ある犯罪計画を思いつく。それは、世界的なビール製造・販売会社ハイネケンのオーナー、フレディ・ハイネケンの誘拐だった。

仕事を失ってやけくそになった若者たちの大胆な犯行

不況のあおりを受け、融資も断られ、会社は潰れる。
どうしようもない人生に悲観する若者たち5人。時間と骨身を削ってわずかな金のために働くのはまっぴらだ。そこで、彼らはアムステルダムで一番の大富豪を誘拐して身代金を奪取することを計画するのだ。それは他ならぬ、フレディ・ハイネケンの誘拐。世界に知られるビールの大手企業ハイネケンの経営者であった。

誘拐は簡単でも、金の受け取りと逃亡は難しい。一度は思い留まろうとした彼らだったが、結局計画を実行に移すことを決意する。そして、当初からの目論見通り、誘拐そのものは見事に成功。フレディ・ハイネケンを拘束するのである。

画像: ©KADOKAWA・Asmik kidnapping.asmik-ace.co.jp

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『ハイネケン誘拐の代償』(ハイネケンゆうかいのだいしょう、Kidnapping Freddy Heineken)は2015年のベルギー・イギリス・オランダ合作の犯罪サスペンス映画。米国公開時のタイトルは『Kidnapping Mr. Heineken』。
1983年11月に実際に起きた、世界的ビール製造会社「ハイネケン」の経営者でオランダ屈指の大富豪であるフレディ・ハイネケンが誘拐された事件(英語版)を題材に、犯罪ジャーナリストのピーター・R・デ・ヴリーズ(英語版)が執筆した書籍を基として、誘拐した者と誘拐された者の両者の視点から実話の真実に迫る内容となっている。

若者たちを翻弄する老獪な富豪

若者たちの誘拐計画は完璧だったはずだった。
しかし、実際にハイネケンを誘拐してみると、大きな誤算が生じていることに、彼らはすぐ気がつくことになる。世界企業のトップとして君臨するフレディ・ハイネケンは、彼らが想像していたよりはるかに老獪で、したたかだった。ハイネケンは、自由を拘束した若者たちを、巧みな口吻で徐々に惑わせていくのだ。

画像: 映画『ハイネケン誘拐の代償』 予告編 www.youtube.com

映画『ハイネケン誘拐の代償』 予告編

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いまだに身代金の大半は見つかっていない

前述のように、本作は1983年11月に実際に起きた、フレディ・ハイネケン誘拐事件をモチーフに作られている。この誘拐事件の身代金は、現在為替レート換算で20億円以上という。

そして、犯人グループは結局全員逮捕されて各自禁固10年以上の実刑を受けているが、支払われた身代金の大半はいまだに見つかっていないらしい。

10年の刑期を代償に稼いだとしても、悪くない出来だ。ならばこれはある意味サクセスストーリーとしてのクライムサスペンスなのか?

いや、そうではない。ハイネケンを誘拐した若者たちは、大金を得たかもしれないが、何か大事なものを無くした。というより、フレディ・ハイネケンによって奪われた。
それがなんであったのか、そしてなん億円もの大金と比べて引き合ったのかどうかは、ぜひ本作を実際に見て判断して欲しい。

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