リスクを恐れず、世間の風当たりにもひるまず、信念をもって前に進む男たち。同時に、ストイックなだけでなく、人生を楽しみ 快活に笑い、欲望や野心を隠さないが爽やかさを失わないイイ男たち。彼らをロレンスMENと呼び、不定期に紹介していく。
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平賀=キートン・太一

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『MASTERキートン』(マスターキートン)は、浦沢直樹・勝鹿北星・長崎尚志脚本[1]、浦沢直樹作画による漫画。1988年から1994年にかけて小学館『ビッグコミックオリジナル』に連載された。単行本はビッグコミックスから、全18巻。のちにアニメ化もされている。
番外編として、浦沢・勝鹿による『キートン動物記』がある(『ビッグコミックオリジナル増刊』連載、単行本全1巻、ビッグコミックススペシャル)。
続編として、浦沢・長崎による『MASTERキートン Reマスター』(マスターキートン リマスター)が、『ビッグコミックオリジナル』に2012年から2014年まで不定期掲載された。単行本は全1巻(ビッグコミックス/ビッグコミックススペシャル)。

平賀=キートン・太一
動物学者の父太平と、イギリス・コーンウォール地方の名門キートン家の息女パトリシアとの間に生まれた日英ハーフ。イギリス国籍。パブリックスクール卒業後、オックスフォード大学に進学した生粋のエリート。
ロイズ保険組合の調査員(オプ)をしながら、遺跡発掘の足がかりとするために考古学者として大学への就職を探っている。
オックスフォード大学ベーリアル校に在学中、同校に留学していた日本人女性の数学者と結婚するが離婚。父親と同様バツイチの独身である。別れた妻への未練を断ち切るため、大学を休学し、イギリス陸軍に志願。SASで数々の戦果を上げ、その後はサバイバル教官として勤務した。
見た目は柔弱そうだが上記のような経歴を持つため、いざとなるとテロリストや犯罪組織相手にも熟練した戦闘力を発揮。武器を携行せずとも現場にあるさまざまなものを効果的に利用して危機的状況から生還する。

才能に溢れながら正当な評価を得られない矛盾

平賀=キートン・太一、通称マスター・キートンは、女性に関しては優柔不断なうえに、ひどく鈍感だ。好意を寄せられることも多いが、たいていの場合それと気づかない。別れた妻の間に生まれた一人娘にさえ、冷やかされる始末。

かといって、別れた奥さんへの未練ばかりでもなく、綺麗な女性との出会いにはときめいてしまう、普通の男だ。
非常に優しく、老人や子供、女性など弱者へのいたわりと、心に傷を持ち闇の世界に落ちていくような人間たちへも、ある程度の理解を持ち、同情心を忘れない。人を強く憎むということがない。
考古学者としては、学界では異端とされる学説を持ち、それを曲げないことから陽の目を見ることができずに、悶々とした日々を送っている。有力大学の就職口を見つけて、そこで認められない限り、自説を証明する発掘へでかける手段もないのだが、そのために学界を牛耳る勢力に阿る”大人”になりきれない。ここでもある意味優柔不断である。

英国最強の特殊部隊SASでは若くして(大学在学時に)曹長に抜擢されたほどの優秀さを持ちながら、軍人としての冷徹さを持てないことから、早々に退役を選んでいる。もちろん根底には、考古学者としての夢を全うしたいという意志があるのはいうまでもない。
つまり、強い意志を持ちながら、他者を思う優しさや、真っ当でありたいと思う普通の人間の感情が、彼の”出世”を阻んでいる。強くて優しい、理想的な男でありながら、自己実現したい”考古学者への夢”が、キートンに耐え難く苦い鬱屈を与えているのだ。

軍人としてや、保険のオプ(探偵)としての能力は周囲から高く評価されながらも、本当に自分がやりたいことにはなかなか取り組むチャンスをもらえない。MASTERキートンは、そういう、やや可哀想な男のストーリーでもある。

本編では夢の実現を期待させるエピソードで終わったが・・・

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全巻18巻で終了した本編では、最終話で彼の学説を裏付ける古代文明の遺跡を発見し、発掘作業に勤しむ彼の姿が描かれている。そして、別れた妻との復縁もありそうな明るいムードで終わるのだが、現実はそう甘くなかった。

20年後のキートン、という設定で短期連載された「MASTER KEATON Re マスター」では、結局まだ保険調査会社のオプに身をやつしているキートンが描かれているのだ。
枯れて54-5歳になったキートンは、それでもいまだに魅力的だが、20年前と同じ鬱屈を抱えたまま生きている。

遊び人の父親も、キートンと同じ考古学を志した娘も、保険調査会社の仲間も元気なままだが、20年という月日によってさまざまな経年変化が起きている。
その中でキートンの志しと彼を阻む環境だけが変わらない。
彼が、自分の信念を曲げて、環境に自分を合わせてまで夢を追う日は来るのか。25年後のキートン、ということで、5年後にはすべての鬱陶しく屈折した彼の心が晴れている、そんなシーンを是非見たいと思うのは、僕だけではないはずだ。

余談だが、ちょっと耳寄りなニュースを最後に・・・。

MASTERキートンの作者である浦沢直樹氏の展覧会が、2016年1月16日から開催される。

ファンなら、もしくはこの記事で気になった方は、ぜひ予定表に書き込んでおいて欲しい。

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