【ドローン・オブ・ウォーストーリー】アメリカ空軍のトミー・イーガン少佐の赴任地はアジアでも中東でもない。ラスベガスの基地に設置されたコンテナ内で無人機ドローンを遠隔操作し、1万キロ余りも離れた異国でのミッションを遂行している。クリックひとつでミサイルを発射する爆撃は、まるでゲームのように現実感が欠落しているのだ。一日の任務を終えると、車でラスベガスのきらびやかな歓楽街を通り抜けて、整然と区画された住宅街のマイホームへ帰り、美しい妻モリーとふたりの幼い子供との生活に舞い戻る。繰り返されるこの毎日がトミーの日常であり、異常な現代の戦争の姿だった・・・

映画『ドローン・オブ・ウォー』公開に先立ち、トークイベントが開催された。

同時多発テロ以降、米国は無人機ドローンを対テロ戦争における画期的な兵器として重宝していた。本作は、遠隔操作で空爆を行う現代戦争の恐ろしい実態と、アメリカ国内の“戦地”と“家庭”を行き来するドローン操縦士の異常な日常をリアルに映し出す、まさに「現在」の戦争映画と呼べる作品。

このたび、本作の公開に先立ち、政治、安全保障の分野において第一線で活躍されているジャーナリストの田原総一朗氏と元防衛大臣にて拓殖大学教授森本敏氏による 「新しい戦争の形」 について語るトークイベントを実施された。

キャスターの長谷川豊氏が司会進行を務め、本作で描かれる「新しい戦争の形」について熱く語り合った。

田原氏は、冒頭、長谷川に本作の感想を求められると、 「ニュアンスとしては『アメリカン・スナイパーに』似ており、今回のドローンのような(軍人の)役割になっていたら恐らく僕らは早く廃人になっていた」 と感想を述べた。続けて森本氏は 「一番の問題は兵器のシステムが恐ろしいのではなく、それを使う人間の意図が怖い」 と述べると、国連で現在話されている軍事用ドローンの自動化、アメリカ国内での“ドローン操縦士”の勲章授与の問題についても触れ、 「人間の在り方、兵器に在り方について考えさせられる」 と一連の軍事用ドローンの問題を引き合いに出し、作品の感想を述べた。

画像1: キャスターの長谷川豊氏が司会進行を務め、本作で描かれる「新しい戦争の形」について熱く語り合った。

森本の感想を受けて、長谷川氏は「ボタン1つで一方的に相手を爆撃する今までと違うこのような新しい戦争は許されるべきか?」と田原氏に問いかけると、 「許す、許さないの前にまず、このアンバランスさに人は耐えられなくなるのではないか」 と見解を述べた。そして、話は世界各国の“軍事用ドローン”事情について及ぶと、「北朝鮮では攻撃用ドローンとして、少なくても300 機保有していることが予想される。」という森本の衝撃発言に場内は驚きの反応に。「ただし、エンジンや運用部分に問題がある」と補足した。

画像2: キャスターの長谷川豊氏が司会進行を務め、本作で描かれる「新しい戦争の形」について熱く語り合った。

続けて、ロシア、ウクライナでもかなりの数の軍事用ドローンを保有しているほか、中国では7種類の攻撃用ドローンを北朝鮮の倍近く保有していることが語られ、続けて、仮に中国のドローンが日本の防空識別圏に入った場合の日本の対応にも言及した。さらに平成30年には日本でも“偵察用ドローン”が運用開始する他、新たなドローン法案が現在、国会で話されているなど日本の実情にも触れ、司会の長谷川は終始、驚きの声を上げた。

話が連日報道される安保法案(安全保障関連法案)に及ぶとさらに深い話に。韓国、北朝鮮、中国などアジア圏における日本の立ち位置やアメリカとの関係性、軍事問題についての実情について言及する森本に対し、田原さんが突っ込むというスタイルのトークイベント。

ヒートアップしたトークに「まるで『朝まで生テレビ』を生で見ているようだ。」との長谷川氏のコメントに場内は爆笑し、イベントは締めくくられた。

画像3: キャスターの長谷川豊氏が司会進行を務め、本作で描かれる「新しい戦争の形」について熱く語り合った。

けっして他人事には考えられない、現代の戦争に通づる作品「ドローン・オブ・ウォー」。ますます注目していきたい映画だ。

映画『ドローン・オブ・ウォー』予告編

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