いまやAppleは「News」、Facebookは「Instant Articles」、Twitterは「Lightning」と、こぞってキュレーションメディアの運営者になりたがっている。

画像: www.apple.com

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かつてインターネットの世界では、コンテンツをつくる者ではなく、コンテンツを集め、見せる者こそが王様だった。まずYahoo!のようなポータルサイトが生まれて世界を牛耳り、次にGoogleがその座を奪う。Yahoo!はインターネット上のすべての情報を集め、リストをつくった。インデックスといってもよい。しかしインターネット上のコンテンツは増え続け、Yahoo!のように人力でリストをつくるサービスはすぐ時代遅れになった。そこでリストづくりを機械的かつ自動的に行えるうえに、情報をほしい人がすぐにアクセスできる、すぐれた検索エンジンをもつGoogleが天下を取ったわけだ。

そしていまでは、ソーシャルネットワークが検索エンジンに取って代わる。情報を検索するのではなく、友人に教えてもらう。これが現在のアクティビティである。スマートフォンの普及も、ソーシャルネットワークの利用を加速した。簡単にいえば、FacebookがGoogleの後釜になったわけだ。

この流れのなか、新しいメディアが台頭した。いわゆるバイラルメディアであり、キュレーションメディアだ。Facebookは、人間関係をベースにしてコンテンツが流れる仕組みである。友人が推薦するコンテンツなら、通常は信頼して消費する。ならば信頼するに足る推薦者(キュレーター)をつくり、まとめれば人々は集まるだろう――この考えが、キュレーションメディアのはじまりだ。キュレーションメディアは、ソーシャルネットワークに寄生する。キュレーションメディア自体は昔のYahoo!と同じで、人的にコンテンツを集めてリスト化し、わかりやすく紹介する。インターネット上のコンテンツはすべてリスト化するには多すぎるが、より良質なコンテンツだけをセレクト(キュレート)することは可能だ。そして、キュレートされたコンテンツをソーシャルネットワークに流す。

しかし、キュレーションメディアはGoogleのようなテクノロジーもなければ、Facebookのような巨大なユーザーベースもない。参入障壁は恐ろしく低かった。だから多くの挑戦者がこの分野に乗り込み、一気にレッドオーシャンになってしまうわけだが、同時にトラフィックを奪われかけたソーシャルネットワーク側にも反撃のチャンスを与えることになる。

つまり、FacebookやTwitterといったソーシャルネットワークというプラットフォームを提供する側が、みずからキュレーションメディアをつくろうと考えたのである。正確にいうとキュレーションメディアというよりは、みずからコンテンツを集めるのではなくコンテンツホルダーを自発的に囲える仕組みだ。それがFacebookの「Instant Article」であり、Twitterの「Lightning」だ。さらにAppleまでもが「News」というアプリを用意して、コンテンツホルダーの囲い込みを図ろうとしている。

メディア戦争ははじまったばかりだ。

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