この穏やかな表情で、これまた爽やかにボーダーを着こなす男。
ちょっとエスパー伊東さんにも似た顔立ち。

読者のみなさんは、この男が誰だかご存じだろうか??

柔和な顔から想像できない彼の正体

画像: ゲンナディ・ゴロフキン(1982年4月8日生まれの 33歳) ja.wikipedia.org

ゲンナディ・ゴロフキン(1982年4月8日生まれの 33歳)

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画像: エスパー伊東さん www.anet-yokyo.jp

エスパー伊東さん

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この男、ゲンナディ・ゴロフキンは、最激戦区のボクシング世界ミドル級で最強、いや、パウンドフォーパウンド(仮に体重差がなかった場合に最強と考えられるという意味)と考えられているボクサーなのだ。
WBA世界ミドル級スーパーチャンピオン(2015年6月現在)であり、プロアマ通じて一度もノックダウンされたことがない。それどころか、プロ転向後33戦 33勝 (30KO) 無敗、実に90%以上のKO率を誇る怪物なのだ。

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強すぎるあまりに、不遇なマッチメイキングに耐えてきた過去数年

身長179cmと、ミドル級として理想的な体躯の彼は、ロシア系の父親と韓国人の母親の間で生まれたハーフだ。だから顔立ちにどこか東洋的な印象がある。出身はカザフスタンということがあり、その強さとは裏腹に、ヘビー級についで最も人気がある階級であるミドル級であっても、なかなかスーパーファイト(人気者同士のマッチメイキング)の機会を与えられてこなかった。

だから、人気はないが強い、という相手とばかり戦う羽目になり、なかなか大金を稼ぐチャンスには恵まれていない。ゴロフキンのすぐ下の階級では、先日フロイド・メイウェザーとマニー・パッキャオが数百億円を手にするビッグマッチを行ったというのに、ゴロフキンがその直後(2015年5月16日)に行った試合では、6R TKO勝利を飾ったにも関わらず、ファイトマネーは150万ドル(1ドル=
124円換算で 1億8600万円)にすぎない。

画像: あまりの強さとカザフスタン出身が災いしてスーパーファイトとは縁遠かった・・・ www.youtube.com

あまりの強さとカザフスタン出身が災いしてスーパーファイトとは縁遠かった・・・

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メイウェザーやパッキャオが、ゴロフキンと戦うことはまずないだろう。
特にメイウェザーは、無敗のまま引退をするという最後の花道を頭に描いているだろうから、パッキャオとの一戦で大金を稼いだ以上、ゴロフキンとのあまりにリスキーな戦いに挑む必然性がない。

世界最高のスピードスターのメイウェザーでさえ、ゴロフキンの強打と高度なテクニックを完封できるかどうかは疑問だからだ。

米国への足がかりを作った5.16のタイトルマッチ

そのゴロフキンだが、直近の2015年5月16日にカリフォルニア州で行った試合が、なかなかにスリリングであり、相手であったWBA世界ミドル級2位のウィリー・モンロー・ジュニアを圧倒しつつも、普段の彼としては珍しいくらいにモンローの強打を数度にわたって受けたことで、逆に米国での商品価値が急激に上がっている。

どういうことかというと、いままでのゴロフキンは圧倒的に強すぎて、簡単に勝つので、ボクシングファンからは「どうせ勝つからみない」という気分で、あまり観戦してもらえていなかった。だから強いけど金にならないボクサーとみられていた。さらに、あまりに強いので、対戦相手がなかなか決まらないし、人気のあるボクサーは彼と戦うことを避けてきたいのである。それが、今回強いことは強いものの、意外にパンチが当たる、(33歳という年齢もあって)衰えてきたのかもしれない、という印象を周囲に与えたのだ。
つまり、無敵のチャンピオンを倒して、実力を世間に見せつける、というチャンスがきたのでは、と他のボクサーやプロモーターに思わせたのである。

判定勝ちばかりを狙うメイウェザーが、強すぎるばかりに観客の憎悪を買い、「誰でもいいからあいつを倒せ」「あいつが負けるところをみたい!」というヒールとしてのポジションを確立している。メイウェザーもそれをうまく利用して、嫌われて上等、という高飛車な言動を繰り返して観客を煽ってきた。

ゴロフキンの場合は、品行方正で真面目なカザフスタン人ボクサーであり、強すぎるからチャンスを与えられない、という憂き目にあってきたわけであるが、モンローとの試合で、しばしばパンチを食らうシーンがみられた為に、次世代のスーパースター候補たちから、「下克上の相手」としてみられ始めた。このポジションは、ゴロフキンの商品価値を逆にあげることになったのである。

先のオリンピックで金メダルをとって凱旋した村田諒太選手もまたミドル級であり、彼はもともとゴロフキンからベルトを獲りたいと公言していたが、村田陣営もまた色めき立ったのではないだろうか。

画像: 村田諒太 www.facebook.com

村田諒太

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ただ、試合直後のゴロフキンは笑顔で「見てて面白かっただろ?」と、敢えて試合を盛り上げたんだというコメントをしていた。もしかしたらそれが本当なのかもしれない。
敢えてリスクをとって、米国でのスーパーファイトの足がかりを作ろうとしたのかもしれないが、どちらにしても、ついにゴロフキンも大金を稼ぐチャンスを得られそうなムードにはなってきた。

おそらく、ゴロフキンのスーパーファイトの相手として実現可能な相手は、メイウェザーには惜敗したものの、若手のホープとして、まさしくスーパースター候補として人気を博すサウル・アルバレス(メキシコ生まれの24歳)になるのだろう。

画像: サウル・アルバレス ja.wikipedia.org

サウル・アルバレス

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僕はいぶし銀のゴロフキンのファイトスタイルをかなり気に入っている。メイウェザーが年内引退を表明している(撤回するかもしれないが)以上、中量級ボクシングはゴロフキンを中心に回り始めている。

Greatest Hits: Gennady Golovkin (HBO Boxing)

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