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L型ツイン

すこし遡りますが、第26回のバイク用語で、Vツインというバイク用語がでてきたのをみなさん覚えていますか?簡単におさらいすると、Vツインとは2つのシリンダーがVの字型になっているということでした!なので、今回の「L型ツイン」もシリンダーの形がL字になっているものかと思ったのですが、正解はどうなのでしょう!?
「L型ツイン」について詳しくおしえて下さい♩
おしえて?ロレンス編集長〜!!

正しいお答え: from ロレンス編集長

はい、お答えします。

「L型ツイン」エンジンとは、4気筒エンジンと同様に、バイクのエンジンの主流となっている、V型ツインエンジンの別名で、ドゥカティに搭載されているV型ツインエンジンが、横から見るとL字型にレイアウトされていることから、L型ツインエンジンと呼ばれています。

Vツインエンジンのメリットは 第26回のバイク用語 でもご説明しましたが、横置きVツインエンジンの場合、進行方向に対してシリンダーが前後に2つ並ぶため、空冷エンジンでは後方のシリンダーに風があたりにくく、冷却効率が悪いという弱点があります。これを解消するために前のシリンダーをほぼ水平にし、後方のシリンダーを直立させることで、2つのシリンダーに冷却風があたるように設計されています。

画像: ファビオ・タリオーニ Fabio Taglioni(1920-2001) www.virginducati.com

ファビオ・タリオーニ Fabio Taglioni(1920-2001)

www.virginducati.com

L型ツインエンジンの生みの親、ファビオ・タリオーニ

このL型ツインエンジンを設計したのは、ドゥカティのエンジニアであったファビオ・タリオーニさんです。1956年から世界GPに参戦したドゥカティは、世界GPの大排気量化にともない1970年のミラノショーで、タリオーニさんによるL型ツインエンジンを搭載したDUCATI 750GTを発表。1972年のデビュー戦となるイモラ200マイルレースでは、このエンジンを搭載したLツイン750レーサーが見事ワンツーフィニッシュで優勝。その後、マイク・ザ・バイクと賞賛されるマイク・ヘイルウッドの1978年マン島TTレースでの伝説的な優勝により、その記念モデルであるドゥカティ・マイク・ヘイルウッド・レプリカとともに、L型ツインを搭載したドゥカティは世界に賞賛されることとなります。

メリットとデメリットの板挟みであった90°ツイン

ドゥカティLツインエンジンの優位性はいくつもあります。先に述べた冷却性はもちろんですが、Vツインエンジンで課題となる挟み角、つまりV字の角度を何度にするかが問題となります。Vツインの挟み角は、ハーレーダビッドソンの45°からドゥカティの90°まで様々ですが、タリオーニさんが採用した90°は、エンジン自体が発する一次振動を理論上0にすることができます。この90°がVではなくLといわれるゆえんでもあるのですが、90°という大きな角度にすることにより、エンジンの前後長が大きくなってしまうのです。

エンジンの前後長を短くするためのアイデアだったのか

これはおそらく大問題だったと思われます。なぜならバイクにとって最も大きなパーツである、エンジンの前後長が長くなってしまうということは、バイクのホイールベースが長くなってしまうことになり、これはコーナリング特性などスポーツバイクにとって重要である、運動性能を損なう要因になってしまうからです。これを解消するために、タリオーニさんは思い切ってエンジンを縦に大きく寝かす設計をしたのではないでしょうか(推測で申し訳ありません)。

コーナリングマシンに最適のレイアウトとなる

これによりVツインエンジンのスリムさに加え、クランクシャフトが車体に対して横置きとなるエンジンが、バイクの傾きを妨げようとする力を発生するのに対して、高い位置にある後方シリンダーの重量がコーナリングを容易にするとともに、前方に大きく突き出したもうひとつのシリンダーの重量が、フロント加重を強めてコーナリングの安定感を高めるという効果も生んでいます。さらに270°クランクという不均等に爆発する点火タイミングも、コーナリングでのトラクションを高めることに大きく作用しているのです。

現代も活躍し続ける不動のエンジンレイアウト

こうしてみると、およそ45年前にタリオーニさんが設計した、L型ツインエンジンはいいことづくめだったようです。いまではドゥカティのフラッグシップモデルは水冷エンジンとなっていますが、L型ツインというレイアウトは変わっていません。これはドゥカティの現代のレーシングシーンでの活躍を見るまでもなく、L型ツインエンジンがいかにスポーツバイクに適していたかを証明していますね。

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