画像: ブランドマネージャーの原さん

ブランドマネージャーの原さん

一般にバイクライフが誕生して半世紀

いろいろな見方があると思うが、日本でバイクが広く一般大衆の趣味として定着しはじめたのは、1960年代からではないかと思う。

1959年に日本初といってもいい、本格スポーツバイクのHonda CB92が発売され、1969年にはあの名車Honda DREAM CB750FOURが、世界に向けてリリースされてから、一気に現代的なバイクライフが、花開いたといえるのではないだろうか。それからおよそ半世紀。私たちが楽しんでいるバイクライフは、それこそ多種多様に分化し進化してきたのである。

世界で大きな潮流となるカスタムカルチャーへのドゥカティの回答

ロレンスでは今年2月のオープン以来、この50年をかけて熟成してきたバイクシーンの「いま」を伝えたく、世界で大きな潮流となっているカスタムカルチャーに注目し、様々な角度からお伝えしてきた。この流れは、アートに近いビルダーによる個人的な活動にとどまらず、デウス・エクス・マキナに代表されるように、ファッション業界も取り込んだミックスカルチャーへ発展してゆき、さらにはBMW R nine Tや、YAMAHA EUによるYARD BUILTというカスタムプロジェクトなど、バイクメーカーが主導する動きにまでいたることとなる。そんな流れの中で、カスタムバイクというカルチャーに対し、新しいアプローチを提案している「DUCATI SCRAMBLER」を、ドゥカティジャパンのブランドマネージャー原佐知子さんにうかがった。

画像: オリジナルグッズ

オリジナルグッズ

最先端の赤いドゥカティに対する原点の黄色いスクランブラー

「いわゆる赤いドゥカティが親だとすると、黄色いスクランブラーはやんちゃな子供という位置づけなんです」と原さん。ドゥカティではスクランブラーをこのように位置づけて、スーパースポーツ路線に代表される、ドゥカティブランドと明確にポジションを分けたブランディングを構築しているという。「赤いドゥカティ」がレーシングシーンとともに、最先端のマシン開発に先鋭化してゆく中、「黄色いスクランブラー」は、もっとシンプルに、もっと素直に楽しめるバイクとして誕生したのである。

1962年に誕生したドゥカティ スクランブラー

実はドゥカティ スクランブラーの誕生は1962年にさかのぼる。ドゥカティは当時、世界最大のビッグバイク市場であった、北米向けにスクランブラーをリリースする。その後、改良を重ねたスクランブラーは、1968年に本国イタリアで発売されると、イタリアで最も愛されるバイクの1台として人気を博すこととなる。およそ半世紀のときを経て、姿も似た形として登場したいまのドゥカティ スクランブラーの真の価値は、この当時のムード抜きには語れないものともいえる。

画像: 1968年よりイタリアでも発売されたDUCATI SCRAMBLER

1968年よりイタリアでも発売されたDUCATI SCRAMBLER

画像1: www.ducati.co.jp

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ライフスタイルも提案した当時の画期的な広告戦略

これは当時のドゥカティの広告写真だ。活きいきとした若者たちがスクランブラーを囲んでいる。工業製品であるバイクの広告表現としては、この時代において画期的なアプローチだったのではないだろうか。

スクランブラーという新しいバイクを、素敵な生活のシーン一部として表現しているのだ。この広告に出演しているのは、テストライダーをはじめとした、当時のドゥカティの社員たちだったそうだ。社員を登場させるというのも、いまではしばしば見られる広告手法ではあるが、この頃にはあまり前例のない画期的なものだったのではと思う。

40年のときを経て問いかけるスクランブラー

この後にドゥカティは1970年に発売開始する、新しいLツインエンジンを搭載したマシンに移行し、シングルエンジンのスクランブラーは、1974年にその時代の役割を終えることとなる。それからちょうど40年のときを経て再度誕生したスクランブラーは、そうした本来は個々のライフスタイルに寄り添う存在である、バイクとはどうあるべきなのかということを含めて、我々の前に現れているのではなかろうか。

画像: 2015年のDUCATI SCRAMBLER ICON

2015年のDUCATI SCRAMBLER ICON

バイクに乗るということへの原点回帰

ドゥカティ スクランブラーのコンセプトは「SELF-EXPRESSION〜らしさの表現」というもので、「FREE-SPIRIT〜あり方や生き方」「POST-HERITAGE〜スタイルやデザイン」「POSITIVE〜未来に対する考え方」という、3つの考え方に立っているという。機能と性能を追求し続けてきた、「赤いドゥカティ」に対して、バイクに乗るという純粋な喜びをプロダクトとして表現できないかという、ドゥカティの新しい挑戦は、バイクが大衆の楽しみとなってから半世紀の熟成を経て、原点回帰ともいえる出来事であり、世界的なカスタムバイクカルチャーという、いわばモーターサイクル・ルネッサンスともいえる、大きな時代の流れへの回答なのだと思う。

世界が賞賛するコンセプトとデザイン

これはスクランブラーが初めて世界に発表された、2014年のドイツのインターモトで、雑誌のモトイタリアが集計した、「もっとも買いたいバイク」でスクランブラーが25.39%の支持を受け、同時に発表されたKawasaki H2Rの16.15%をおさえて1位となったことからも、世界の注目が伺えるというものだ。その後にイタリアで開催されたEICMA(ミラノ・ショー)では「最も美しいバイク」にも選ばれている。

世界から注目されているかもしれない日本のスクランブラー

日本人にとってはあまり実感がわかないかもしれないが、カスタムカルチャーやライディングファッションも含めて、日本のライダーは世界のお手本となっているそうだ。そんな日本にもドゥカティ スクランブラーが走り出すこととなる。いまのバイクカルチャーを牽引している日本のライダーたちに、スクランブラーはどのように受け入れられるのだろうか。2000年の頃に、DUCATI SS900で箱根を走りまくっていた私としては、この軽快な車体にハイグリップタイヤを装着して、峠でのスーパースポーツキラーに、カスタムしたいという過激な妄想をいだいてみた。みなさんはいかがだろうか。

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