デビッド・フィンチャー監督が描く、理想の夫婦の愛憎劇

NYで理想的な出会いを果たした二人。ロマンティックな男と知性と美貌を併せ持つ女。
ニックとエイミーは電撃的に恋に落ち、結婚する。

ニックは男性誌の職業ライター。エイミーもまた文筆業に従事していたが、著名な小説家の娘として裕福な家の出だった。

『ゴーン・ガール』 (GONE GIRL) は、2012年発表のギリアン・フリンによる同名小説を基にしたアメリカ合衆国のミステリー/スリラー映画である。またフリンは脚本を担当している。監督はデヴィッド・フィンチャーが務め、ベン・アフレック、ロザムンド・パイク、ニール・パトリック・ハリス、タイラー・ペリーとキャリー・クーンが出演している。作品は2014年9月26日に第52回ニューヨーク映画祭でワールド・プレミア上映された。10月3日には世界中で同時公開され、日本では約2ヶ月後の12月12日に公開された。

二人の結婚は誰もが羨むようなものなはずだった。

しかし、結婚後すぐにニックは職を失い、さらにニックの母親が重病を患ったことをきっかけに、二人はニックの故郷であるミズーリに移り住む。彼らの歯車はそこから大きく狂い始める。

二人の結婚5周年の日、ニックが帰宅してみると、妻の姿はいない。
そこには荒らされた部屋と、大量の血痕が残されていた・・・・。姿を消したエイミー、果たして彼女の行方は?安否は??

偶然の出会いが二人を引きつけた。

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画像: ニックに惹きつけられるエイミー www.foxmovies-jp.com

ニックに惹きつけられるエイミー

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画像: エイミーの心をつかむ、ニックの優しく洒脱な仕草

エイミーの心をつかむ、ニックの優しく洒脱な仕草

画像: プロポーズもおしゃれに

プロポーズもおしゃれに

画像: 結婚はやっかいなものかもしれない

結婚はやっかいなものかもしれない

画像: でも。二人は愛し合っていた。

でも。二人は愛し合っていた。

画像: エイミーは突然失踪。自宅は荒らされた形跡が残っていた・・。 www.foxmovies-jp.com

エイミーは突然失踪。自宅は荒らされた形跡が残っていた・・。

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自分を裏切った男への復讐劇?

ニックはすぐに警察を呼ぶが、警察は冷静さを失わない夫の姿に不審を抱く。冷静すぎるし、無表情が過ぎる。泣きわめきもしないし、苛立ちを見せることも少ない。

もしや彼が彼女を殺害したのでは?

メディアもまた、ニックに疑いをかける。彼を信じてくれるのはニックの双子の妹だけだ。
ニック自身にはもちろん身に覚えがない。ないが、彼には後ろめたい隠し事がある。それはすでにエイミーへの愛情は冷め、若い愛人との逢瀬に夢中になっていたことだ。

ニックは自分を罠にはめるために、エイミーがわざと失踪し、殺人の嫌疑を彼にかけようとしているのではないかと疑う。そこで、妻殺しの冤罪の弁護専門の凄腕の弁護士を頼り、自分にかけられ始めた恐ろしい嫌疑を晴らすために動き始めるのだが、次から次とみつかるさまざまなエイミー殺害を匂わせる痕跡が、ニックをどんどん追い詰めていく。

『ゴーン・ガール』2015.3.6 先行レンタル配信/4.3ブルーレイ&DVDリリース

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女は恐ろしい、だから欲情する、という矛盾を突きつけるストーリー

ネタバレになるから細かいことは書かないが、この映画はミステリーというよりは、スリラーだ。
ニックは故郷のミズーリに住んでいるわけだが、周りに妹以外に親身になって彼を応援してくれるような友人の姿はない。妻の血液型も知らず、妻の交友関係も全く知らない。そして若い愛人に対しても執着がなく、事件が起きたことで距離を置くことになんの痛痒もない。エイミーに対する愛情の欠如はいいとして、すべてのことに対して感情が薄いのである。

逆に、エイミーもまた、ニックの裏切りを許せず、彼への復讐を時間をかけ、緻密に行っていくのだが、突発的な逆上はなく、淡々と楽しげに行為を進めていく。その意味でエイミーはある種のサイコパスだが、ニックもまた正常の人間ではないように思われるのだ。

最終的に二人の争いは思いもかけない方向に向かい、第三者を巻き込む悲劇となる。しかしニックとエイミーの関係は常人には理解しがたいもつれ方をする。解こうにも解けない、奇怪な形を作るのだ。

この映画はデビッド・フィンチャーの他の作品、例えば『セブン』のような救いのないバッドエンドではない。決してハッピーエンドではなく、うっすらと汗をかきそうな恐怖のエンディングが待っているのだが、それでもバッドエンドではない。
見なければよかったなと思わせる部分もあるにはあるが(女って怖い、男ってバカだ、と思わざるを得ないから)、それでも緻密に練られたプロットと、エイミー役のロザムンド・バイクの巧みな演技と演出によって、怖いからこそ、不気味だからこそ、セクシーさを増していく女って、恐ろしいけど魅力的だなと、輪をかけてバカだなと思わせてくれるところがすごいのだ。

自分を死罪にまで追い込む罠をしかけられたニックも、エイミーを恐ろしく思い、憎しみつつも、実は冷めたはずの愛(情というより欲望)が再び沸き起こり始めているように思えてならないのである。

観終わった後で、もしあなたがパートナーとこの映画を観ていたとすれば、パートナーの感想は聞かないほうがいい。どちらにしても、どこか背筋が寒くなるような思いを堪えられないはずだからだ。

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