難病(ALS)に冒されて日常生活もままならなくなってしまった女性ケイトの看護を引き受けたのは、自由奔放で天真爛漫な女子学生ベック。気丈に振る舞うケイトだが、徐々に体が動かなくなり、迫り来る死への恐怖を胸の内に抱えていた。不治の病に罹る病人と知りながら常人と一緒にいるときと全く変わらない振る舞いをする明るいベックもまた、実は心の中に深い傷を負っていた。
最初は衝突ばかりしていた二人だが、徐々に打ち解け、心の内を互いに打ち明けるようになる。
大ヒットしたフランス映画「最強のふたり」によく似た設定ながら、女性二人に置き換え、また、ケイトの病状が進んでいくことでさらに切ないエンディングを予感させるヒューマン・ストーリー。

残り少ない人生に悔いを残したくない女性と、有り余る時間があると考えていた女性の、奇跡的な邂逅

ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、”筋肉の萎縮と筋力低下をきたす神経変性疾患”で、半数ほどが発症後数年で呼吸筋麻痺により死亡するという。本作中では、介護の訓練も受けておらず十分な教養もないベックが、他意なく無邪気に”残り寿命”をケイトに訊くが、ケイトは「発症後1年半くらいで死ぬ」と答える。

主人公のケイトは何不自由ない生活をしていた。十分なお金もありイケメンの夫にも愛されていた。そんな幸せの絶頂から、彼女は不治の病という試練に見舞われ、(人生の楽しいことの)全てを諦めることを突如強いられる。残り少ない寿命と知りながら、徐々に動かなくなる四肢への恐怖に必死に耐えていかなければならない。また、熱愛の末に結婚した夫が介護に疲れて浮気をしても、傷つきはしても耐えようとした。いつ死ぬかわからない自分にまだ若い夫をつきあわせてしまっていることに、逆に罪悪感を抱いてしまうのである。

同時に、ベックは既婚者との恋愛に消耗しきっていた。当てつけにワンナイトラブを繰り返しても心は晴れないが、ケイトの介護のアルバイトを始めて以来、徐々にケイトに友情を感じ始め、そして何があっても前向きに生きていくことの意義を思い起こす。

女性同士ならではの友情の形を、熱く切なく描く佳作

ケイトは自分がどうせ死ぬとわかっている。そして、夫や友人たちが彼女が二度と元気になることがないと知っていながら「きっとよくなるよ」と気休めを言うことを、耐えがたく感じている。だから(介護の素人であるのに)ベックを雇った。ベックはケイトを病人扱いしないからだ。

二人が友情を育む様やシチュエーションは「最強のふたり」に非常に近いが、本作は女性同士ならではの友情の形を、熱く切なく描いている。病気や事故は誰の身にも降りかかる災厄であり、それを未然に知ったり防ぐことはほぼ不可能だ。ケイトはその運命を鈍いながらも仕方ないと受容れる。ベックはそんなケイトを哀しく見守りながらも少しでも長く生き続けることを諦めないでほしいと願う。

本作は、二人の女性が相手を思いやりつつ、自分の人生を自らの意思で変えていこうと決意する過程を描く、切ない物語だ。

画像: sayonara yokokuHD www.youtube.com

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