画像: ライダー:三上勝久、写真:斉藤真奈

ライダー:三上勝久、写真:斉藤真奈

CRF250RALLYに試乗してきました。本誌riderにも掲載しますが、次号は3月28日発売と随分先なので、とりあえず速報を。バイクに興味がないって人にもぜひ読んで欲しい、素晴らしい旅のツールと言えるバイクに仕上がっていました。

唯一無二のバイク

画像: 250ccには見えない大柄さも魅力。250ccクラスにありがちな安っぽさは皆無。

250ccには見えない大柄さも魅力。250ccクラスにありがちな安っぽさは皆無。

画像: 個性的かつ実用的なスクリーンとヘッドライト

個性的かつ実用的なスクリーンとヘッドライト

CRF250RALLYのPL(開発責任者)であり、オフロード仲間(と勝手に思っている)杉山さんにも言ったんですが、最初の試乗時には悪いところは一切見当たりませんでした。完璧です。
CRF250RALLYは、従来からあるCRF250Lをベースに、ダカールラリーに参戦するCRF450RALLYレプリカのエクステリアを装着し、タンク容量を10ℓと増量したモデルです。合わせてリアサスペンションのロングストローク化もなされています。
CRF250Lはこれまで何度も乗っていますが(2012年にはBAJA1000にも参戦しました)、250ccクラスのオフロードバイクのなかで突出したオフロード性能をもつバイクとは言えないモデルです。全体のバランスはよく、誰でも扱えますが重量が結構あること、最低地上高が低いことから、林道ツーリングなどには良くてもハードなエンデューロコースを走るコンペ用途には向かない(ほかにもっと高性能なバイクが存在するという意味で)モデルです。
しかし、このCRF250RALLYは、ほかにライバルのいない唯一無二のモデルとなっていました。その理由は下記の通り。

1:標準で、これほどまでにラリーレプリカとして完成されているモデルは国産車では存在しない。そして文句なしに格好いい。

2:ラリーレプリカとして採用されたカウルが効果的で、ツーリングバイクとしての魅力を高めている

3:きちんとオフロードを走れる性能を持っている

この3点です。
オンロード系のメディアの人は「パワーが物足りない」「サスが柔らかい」「車高が高すぎる」などの反応だったようですが、オフロードメインの本誌としてはそうは思いませんでした。
今回、撮影のためにやや柔らかめのサンド路面の広場と、全部で10kmほどの林道を走ったのですが、接地感が高くコントロールしやすい車体に仕上がっていて舌を巻きました。足まわりの出来が非常によく、大きなギャップに乗り上げても、フロントから柔らかいところに突っ込んでも、怖さを感じない高いスタビリティをもつ足に仕上がっていました。
これは、オフ走行を真面目に考えていないオンロードバイクベースのツーリングバイクには期待できない性能です。路面を見て、ライダーが予想したとおりの動きをする……これってオフロードでは特に重要なんです。また、ギャップに突っ込んだときにもしっかりと耐えてくれるフロントサスの出来の良さもいいところ。実際に海外ツーリングなどでは、100km/h前後で穴に突っ込むなんてのはよくある話。オフロード性能が低いバイクだったら、一発で大転倒してしまうところも、このバイクならしっかりと耐えてくれるでしょう(ライダーの腕がダメならダメかもですが)。
ただし、これらのいい点は、オフロードに普段から親しんでいない人にはたぶん感じることはできないでしょう。

画像: タンクは10ℓ。どんなに飛ばしても300km以上無給油で行けるはず

タンクは10ℓ。どんなに飛ばしても300km以上無給油で行けるはず

画像: アクセサリーの装着にも配慮されているスクリーンステー

アクセサリーの装着にも配慮されているスクリーンステー

そして、何より格好いい。おそらくフロントカウルの下部は乗っていくうちに傷だらけになるでしょうが、それでもここまでラリー車としてスタンダードで仕上がっているモデルは国産車では過去にありませんでした。もちろん、現段階でほかには見当たりません。
見てくれだけでなく、きちんとしたオフロード性能を持っているので、これなら林道ツーリングはもちろん、SSERが主催する国内のラリーに出場するくらいなら最適です。パワフルとは言えませんが、このパワーをしっかり引き出せれば上位に入ることも無理ではないでしょう。
決して突出した性能ではないけれども、きちんとオフロードを走れ、格好良く、しかも税抜60万円で買える。文句なしの素晴らしいバイクです。
また、ABSモデル(こちらは70万円になるけれども)のブレーキの出来もなかなかでした。ギリギリまでブレーキをカットしない、オフロード向けのセッティングがなされたABSで、とくにフロントのセッティングは素晴らしいものでした。リアのキックバックはちょっと粗い感じもしましたが、握りゴケをしにくくなるので、オフロードビギナーや予算のある人はこちらを選んだほうがいいと思います。

あえて不満を言うとすると、ステアリングブラケットがハンドルクランプと一体のもののためか、7000rpmを超えるとハンドルにかなり強く、周波の短い振動が出ること。手が痺れるほどではないですが、快適ではありません。これはDRCなどからハンドルバーマウント別体式のトップブリッジなどが出たら替えたい部分ですね。
また、CRF450RALLYのスタイルになるべく近づけるために、ピリオンステップはCRF250Lと同じものを採用しているのですが、これがよくない。サイドカバーがLより出っ張っているため、大人が長時間後ろに乗るのはかなりきついです。ステップの位置が高すぎ、また1Gで大きく沈みすぎるため、ライダーにしがみついていないと落ち着かないような感じです。
また、一般道、ツーリング向けの最終減速比となっているため、ダートでの立ち上がりではややトルク、パワー不足を感じます。オフロードをメインで走るなら、リアスプロケットは48Tくらいに替えたいですね。

ともあれ、大柄でスタイリッシュ。これなら、1200ccのアドベンチャーバイクと並んでも決して見劣りしません。なにしろ、これだけ高いオフロード性能をもち、なおかつビギナーにも扱いやすいアドベンチャーバイク(あえてこう呼びます)はいま他に存在しないのですから。
前後17インチとかにして、もっとロードよりの設計にしたほうが売れ行きは伸びるんじゃないの? なんてことも思いますが、これだけオフロード性能を高めて発売してくれたホンダにはマジ感謝です。
どんな道でも恐れず入っていける、自由な旅をしたいライダーにとっては最高のツールとなるでしょう。バイクに興味ない、俺は旅の道具が欲しいんだ! という人も最適。ぜひこの旅で世界一周の旅に出てください。そんなオススメを言いたくなるバイクです。

次号3/28発売のrider vol.10ではさらに突っ込んだ記事を書く予定です。ぜひこちらもお買い求めのうえ、お読みいただければ! 下記のリンクから定期購読の申込みも出来ます。ぜひしてください!

画像: 開発陣の面々とCRF250RALLY、CRF250L、CRF250M。LとMも今回のRALLYの登場に合わせ同じエンジンモディファイを受けているとのこと

開発陣の面々とCRF250RALLY、CRF250L、CRF250M。LとMも今回のRALLYの登場に合わせ同じエンジンモディファイを受けているとのこと

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