1960年代のロンドンの裏社会を牛耳った、実在した双子のギャングスタを描いた、スタイリッシュなバイオレンスムービー。犯罪を肯定することはないが、野望に忠実な男達の光なき輝きは、痺れるくらいクール。

まさにKool。実在したギャングスタの閃光のような人生を描き出した傑作

一卵性双生児でありながら全く性格が違うレジーとロンのクレイ兄弟は、ナイトクラブやカジノ経営で荒稼ぎしながら、敵対する組織は暴力や奸計で潰し、マフィアとも対等に手を組む。
兄のレジーは表と裏の事業を知的に、そして巧みにこなしてみせるが、必要とあれば暴力を使うことをためらわない。弟のロンは同性愛を公言しながら精神疾患に悩まされ、一度キレると周囲の制止も聞かずに暴れまくってしまう。そんな兄弟は、悪徳の限りを尽くしてロンドンの暗黒街でのし上がるが、やがて運命の歯車は不協和音を立て始め、破滅の道へと堕ちていく。

1960年代の英国(あえて英国と書く)は、ビートルズを始めとするさまざまなアーティストや、パンクロック、モッズなどの多彩な文化を生み出していたが、同時に裏社会においてもクレイ兄弟のようなダークサイドのスター達を作り出していた。クレイ兄弟は事業家としての顔と、犯罪者としての顔を使い分けるが、レジーとロンは知性と野性を二人で使い分ける。

真実には常に二面性がある。立場によって、あるいはシチュエーションによって入れ替わる二つの面が、万華鏡のような煌びやかで入れ替わる、その激しさと切なさを楽しむべき最上のエンターテインメント。それが本作だ。

タフでマッチョでワイルドなトム・ハーディーに、今後はもっと注目が集まることを期待

一人二役でクレイ兄弟を演じるのはトム・ハーディー。『マッド・マックス 怒りのデスロード』で新たなマッド・マックスを演じたことで日本での知名度も一気に上がった。1977年生まれの英国人俳優だ。

僕は彼、トム・ハーディが大好きで、彼の作品は”指名買い”の状態なのである。クリストファー・ノーラン監督の「ダークナイト・ライジング」ではバットマンの背骨を折る悪役ベインを演じ、レオナルド・ディカプリオの『 レヴェナント:蘇りし者』でもレオ様のオスカー獲得を支える名演技を見せた。

最近の日本ではなかなか人気が出ないかもしれないオトコクサくてマッチョ な俳優だが、同時に知的で演技も上等であるし、さらに言えば若い頃のポール・ニューマンを思わせるイケメンでもある。

既に「マッド・マックス」シリーズの次回作の主演も決定しているようだし、ますます今後が期待である。

画像: 主人公レジー・クレイを愛し、妻となるフランシス(右)の視点で物語は紡がれる。 www.legend-movie.net

主人公レジー・クレイを愛し、妻となるフランシス(右)の視点で物語は紡がれる。

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画像: 映画『レジェンド 狂気の美学』予告編 youtu.be

映画『レジェンド 狂気の美学』予告編

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