『口入屋兇次』は、江戸時代の仕事斡旋業の兇次とその仲間たちの活躍を描く時代劇です。
裏稼業的な仕事にも通じ、ハローワークの明るさというよりは、窮地に追い込まれた者たちの最後の駆け込み寺的な存在であり、切迫・逼迫した人間たちが兇次の下に次から次へと集います。
彼は、暗闇の住人ではありますが、悪党ではありません。ただ、自分を頼る依頼人を救うためには非合法な手段も厭わないだけなのです。

作者の岡田屋鉄蔵先生の他の作品としては、幕末の剣豪の波乱万丈な一生を描く『MUJIN 無尽』 (連載中・ヤングキングコミックス)や、ワケありの浮世絵師の心模様を描く『ひらひら 国芳一門浮世譚』などがあり、ほぼすべて時代劇。また、インディーズ的な雑誌等ではBL系の作品も多く手がけていらっしゃいます。
そのせいもあるのでしょうか、岡田屋先生の描く男たちは、誰も彼も不思議な色気があり、たとえもろにBL的要素が書き込まれていなくても、どことなく危うく、繊細で、蕩けそうなムードが漂っているのです。

そのため、もしかするとメジャーな存在にはなりづらいのかもしれませんが、緻密に練られたストーリーの妙と、登場人物たちが放つ、夕闇に立つ暗い影のような妖しくも儚い色香に、むせるような想いを一度味わえば、岡田屋作品の虜になるに違いありません。ぜひ、お試しください。

かつて江戸の町には、職を求める人々にさまざまな仕事を斡旋する口入屋なるものが存在した。いわば江戸時代のハローワークである。
とある口入屋の主人・兇次(きょうじ)のもとに、今日も理由アリの依頼者たちがやってくる。言うに言えない事情を抱えた者たちに、紹介される仕事とは…?兇次の絶妙な采配が冴え渡る!
岡田屋鉄蔵が贈る、異色の時代劇!

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